中小企業のマーケ担当が、最初に整えるべきもの。広告より先にやることがある。
中小企業でマーケティングを担当することになったとき、最初にやることとして広告出稿を指示されるケースは少なくありません。問い合わせを増やしたい、認知を広げたい、売上を上げたい——その手段として広告が先に来ることが多いです。
しかし、広告は集客の手段であって、集めた後の仕組みが整っていなければ投下した予算は無駄になります。広告を出す前に整えておくべき土台があります。これを省いて広告から始めると、後でやり直すコストが2倍になることを、複数の現場で経験しました。
広告より先に整えるべき3つの土台
中小企業のマーケ担当として最初に取り組むべきことは、次の3つです。
まず計測環境を整えること。Google Analytics の設置と設定、コンバージョンタグの設置、検索キーワードを確認するためのGoogle Search Console の設定。これがなければ、広告を出しても成果が分からないまま走り続けることになります。
次にLPを確認すること。既存のウェブサイトやLPがある場合、そこに来た人の行動を確認します。直帰率が高くないか、フォームまで辿り着いているか、コンバージョンポイントが分かりやすい位置にあるか。広告で集客する前に、集めた人が行動できる状態になっているかを確認する必要があります。
3つ目はオファーの整理です。ユーザーに何をしてほしいか、その行動を促すための提案が明確かどうかを確認します。問い合わせのハードルが高すぎないか、無料相談や資料ダウンロードなどの中間的なアクションが用意されているかを整理します。
計測が整っていない状態で広告を出すとどうなるか
計測なしで広告を出すと、成果の有無が数字として見えません。月に10件問い合わせが来たとして、そのうち何件が広告経由なのか、どの広告からなのかが分からなければ、何を改善すればいいかの判断ができません。
あるBtoB向けサービス企業で、計測環境なしで6ヶ月広告を出し続けたケースがあります。その後計測を設定して確認したところ、問い合わせの大半が広告ではなく指名検索から来ていたことが判明しました。広告費の大部分が、広告なしでも来ていたユーザーへの費用になっていたわけです。
計測があれば3ヶ月で気づいて方針を変えられたところを、6ヶ月のロスになりました。計測のコストは無料ツールの設定工数だけです。これを後回しにする理由はありません。
中小企業のマーケで陥りやすいパターン
中小企業のマーケ担当が陥りやすいパターンがいくつかあります。
【施策を広げすぎるパターン】
広告・SNS・SEO・メルマガを同時に始めようとする。リソースが分散して、すべてが中途半端になる。まず1つに集中して成果の出る型を作ることが先。
【代理店に全部任せるパターン】
広告を代理店に丸投げして、月次レポートを受け取るだけになる。数字が良いのか悪いのかの判断軸を持たないまま契約が続く。最低限の判断基準は社内に持つ必要がある。
【成果指標が曖昧なパターン】
何をもって成功とするかが決まっていない状態で施策を打つ。問い合わせ数なのか、商談化率なのか、売上なのか。KPIが決まっていなければ改善の方向も決まらない。
これらのパターンに共通するのは、土台を作る前に施策に走っていることです。土台とは計測・LP・オファーの3点であり、ここが整ってから広告やSNSの具体的な施策を組み立てることで、投じたリソースが成果に繋がりやすくなります。
最初の3ヶ月でやるべきことの優先順位
中小企業のマーケ担当として最初の3ヶ月で優先すべき順番を整理します。
1ヶ月目は現状把握と計測整備です。Google Analytics・Search Console・コンバージョンタグを整備して、現状の流入と行動データを取れる状態にします。既存のLPやサイトに来ている人の行動を確認して、課題を把握します。
2ヶ月目はオファーとLPの改善です。現状データをもとに、直帰率が高ければLPのメッセージを見直し、コンバージョン率が低ければオファーを調整します。フォームの使いやすさ、CTAの位置、ファーストビューの訴求内容——これらを改善してから集客に移行します。
3ヶ月目から集客施策を開始します。土台が整った状態で広告や SEO を始めることで、投じたリソースが成果に繋がる確率が上がります。この順番を守らないと、集客した後で LP や計測の問題に気づき、最初からやり直すことになります。
代理店への依頼前に社内で持つべき判断軸
広告代理店に依頼する場合も、発注者側に最低限の判断軸がなければ成果は出にくくなります。
代理店が出してくるレポートの数字が良いのか悪いのかを判断するには、業界平均のCPAやCVRの目安を知っておく必要があります。代理店から「CPAが5,000円です」と言われたとき、それが良い数字なのか悪い数字なのかを自社の収益構造と照らし合わせて判断できるかどうかが重要です。
自社のLTV(顧客生涯価値)から許容CPAを計算して、その数字を代理店と共有することが、広告運用を適切な方向に導く出発点になります。代理店が提示してきたCPA目標ではなく、事業として許容できるCPAを自社で持つことが先です。
中小企業のマーケ担当は守備範囲が広く、すべてを深く知ることは現実的ではありません。ただ、土台を整えて判断軸を持つことは、大きな専門知識がなくてもできることです。この2点を先に押さえておくだけで、その後の施策の精度が大きく変わります。