マーケ担当になったら、まず何から始めるか。優先順位の付け方を整理する。
マーケ担当に任命された。あるいは転職先でマーケを一手に任された。でも正直、何から手をつければいいか分からない。広告、LP、SNS、メルマガ、SEO、計測設定……やるべきことが多すぎて、全部に少しずつ手をつけているうちに3ヶ月が過ぎた。でも何も変わっていない気がする。
この状態に陥るマーケ担当者は多いです。原因は能力の問題ではなく、優先順位の問題です。マーケティングという仕事は、やれることが無数にある。だからこそ、何をやらないかを決める判断が最も重要になります。
今回は、マーケ担当として動き始めるとき、特に最初の3ヶ月でやるべきことの優先順位を整理します。
最初にやるべきは施策ではなく「現状把握」
マーケ担当になって最初にやりがちなミスが、すぐ施策を動かすことです。広告を出す、SNSを始める、LPを作り直す。行動すること自体は悪くありませんが、現状を把握しないまま動くと、課題と施策がずれたまま時間だけが過ぎます。
まず1〜2週間かけて現状を整理してください。確認すべきことは3つです。
① 今、どこから顧客が来ているか(流入経路ごとの件数と割合)
② 来た人のうち、どのくらいがCVしているか(CVR)
③ 1件獲得するのにいくらかかっているか(CPA)、または費用はゼロでも時間的コストがどのくらいか
この3点が把握できれば、どこに問題があるかが見えてきます。流入が少ないなら集客の施策が優先。流入はあるがCVが取れていないならLP・オファーの改善が優先。CPAが高いなら運用の最適化が優先。
現状が把握できていない状態で「とりあえず広告を出す」「とりあえずSNSを始める」という動き方をすると、改善すべき箇所が分からないまま予算と時間を消費します。
計測が整っていないなら、それが最優先
現状把握をしようとしたときに「数字が分からない」という状態になっているなら、計測設定が最優先です。
GA4が設定されていない、コンバージョンが計測できていない、広告媒体のピクセルが入っていない。こういった状態で施策を動かしても、効果があったのかどうか判断できません。判断できないということは、改善もできないということです。
計測設定は一度整えてしまえばずっと使える資産です。最初の1週間を計測設定に使うことは、その後の全施策の精度を上げることに直結します。逆に、計測が整っていない状態で施策を積み重ねると、後になって「あのとき何が効いたか分からない」という状態になります。
最低限整えるべき計測環境は以下です。
・GA4の設置とCVイベントの設定(問い合わせ完了、購入完了など)
・広告を出しているならMeta/Google/各媒体のピクセル・タグの設置
・流入経路ごとのCV数が分かる状態(参照元レポートで確認できること)
GTM(Googleタグマネージャー)が入っていない場合は先に入れておくと、後の計測設定が楽になります。
施策の優先順位を決める3つの問い
現状把握と計測設定が終わったら、次は施策の優先順位を決めます。マーケティングの施策は大きく「集客」「接客」「計測・改善」の3つに分けられます。
優先順位を決めるために自分に問いかけてほしい質問があります。
まず「今、一番のボトルネックはどこか」という問いです。流入数が少ないなら集客施策が先。流入があるのにCVしないなら接客(LP・オファー)が先。数字を見ても原因が分からないなら計測・分析が先。ボトルネックを特定せずに均等に全施策に手を出すと、全部中途半端になります。
次に「今の自分が3ヶ月で成果を出せる施策はどれか」という問いです。SEOは成果が出るまで6ヶ月〜1年かかることが多い。SNSのフォロワー獲得も同様です。広告は予算があれば2〜4週間で結果が出始めます。上司や経営者に早期に成果を示す必要があるなら、短期で結果が出やすい施策から着手することが現実的です。
三つ目は「やめることを決められるか」という問いです。前任者が始めたSNSアカウントが更新されないまま残っている、効果が不明な広告が走り続けている。こういったものを整理することで、集中すべき施策に時間とリソースを向けられます。やることを増やすより、やめることを決める方が難しいですが、効果は大きいです。
最初の3ヶ月でやること・やらないことの例
具体的なイメージとして、月の広告予算が100万円前後の事業会社で1人でマーケを担当する場合の例を挙げます。
【最初の3ヶ月でやること】
・計測環境の整備(GA4、各媒体ピクセル)
・現行広告の数字の確認と不要な配信の停止
・最も流入が多い1〜2チャネルの運用改善
・LPのCVRと離脱箇所の確認
・月次で数字を追うレポートフォーマットの作成
【最初の3ヶ月でやらないこと】
・新しいSNSアカウントの開設
・SEOコンテンツの大量制作
・LP全面リニューアル(計測で問題箇所が特定できてから)
・複数媒体への同時新規出稿
・ツールの大幅な入れ替え
新しいことを始めるのはいつでもできます。まず既存の施策を整理して数字を把握することが先で、そこから改善の方向性が見えてきます。
「何から始めるか」より「何を追うか」を決める
最初の動き方として大切なのは、施策の選択より先に「何の数字を追うか」を決めることです。
マーケ担当として動いていると、毎月さまざまな数字が出てきます。インプレッション、クリック、CVR、CPA、LTV……全部重要に見えますが、全部を同じ重みで追うと判断軸がぶれます。
事業のフェーズによって、追うべき指標は変わります。新規獲得フェーズなら新規CVとCPAが主指標。継続・定着フェーズならリピート率と解約率。認知拡大フェーズならリーチとブランド指名検索数。
上司または経営者に確認してほしいのは「今の事業で最も重要な数字は何か」という一点です。これが決まると、自分が取り組むべき施策の優先順位が自然と絞られます。
相談相手がいない状態での判断基準の持ち方
1人でマーケを担当している場合、施策の正しさを自分で判断しなければならない場面が多くなります。誰かに確認できない状況での判断基準として、わたしが実践していることをお伝えします。
施策を検討するときに「これは数字で結果が分かるか」という問いを立てます。結果が数字で分かる施策は、やってみて判断できます。数字で分からない施策は、やっても意味があったかどうか評価できません。評価できない施策に時間を使い続けると、学習が積み重なりません。
もう一つは「今の状態でこの施策をやる必要があるか、半年後でも遅くないか」という問いです。計測もできていないのにSEO記事を大量に書いても、効果の確認ができません。優先度が高くない施策は後回しにする判断を、自分で下せるようにすることが1人マーケの現実的なやり方です。
マーケ担当になりたての時期は、やるべきことが多すぎて焦ります。でも焦って全部に手を出すより、ボトルネックを特定して1点集中する方が早く結果が出ます。「まず何から始めるか」は、「今どこが一番詰まっているか」を把握することから始まります。