フルファネル設計で最初に決めるべきは、Who・What・Howじゃない。
フルファネルで一番最初に決めるべきことは、Who・What・Howじゃありません。
「どのKPIをゴールに置けば、全体が正しく動くか」という最上段の設計です。
ある大手D2Cブランドの新商品立ち上げ支援で一番大変だったのがここでした。
KPIの置き場所を間違えると、全員がズレる
認知を取るべきフェーズなのにCVを追いかけると、施策がバラバラになります。
広告チームはCV最適化で狭いターゲットに絞りたがる。でもブランド側は認知を広げたい。PR担当は露出数を追っている。それぞれが自分のKPIを追うほど、全体としての方向性が定まらなくなる。
逆に、継続率を上げるべきフェーズなのに新規獲得に予算を使うと、バケツの穴が塞がらないまま水を注ぎ続けることになります。毎月新規を大量に取っても、翌月にはほとんど離脱しているという状態。
KPIの置き場所を間違えると、全員が頑張るほど方向がズレる。これが最も怖いパターンです。
最上段のKPIを決めるプロセス
新商品立ち上げの案件では、まず事業フェーズの定義から始めました。
フェーズ1(立ち上げ期):認知率がKPI。まずは知ってもらうことが最優先。CPAは度外視。
フェーズ2(獲得期):初回購入数がKPI。認知が一定水準に達したら、獲得に切り替える。
フェーズ3(定着期):F2転換率(2回目購入率)がKPI。ここが弱いと獲得コストが回収できない。
この3フェーズのどこにいるかで、追うべき数字が変わります。そしてフェーズの切り替え基準を事前に決めておくことが重要です。
「認知率が○%を超えたら獲得フェーズに移行する」「F2転換率が○%を下回ったら定着施策を優先する」といった判断基準があれば、各チームが同じ方向を向けます。
Who・What・Howはその次
最上段のKPIが決まって初めて、Who(誰に)・What(何を)・How(どう届けるか)が意味を持ちます。
認知フェーズなら、Whoは「まだ自分の課題に気づいていない潜在層」。獲得フェーズなら、Whoは「課題を認識して解決策を探している顕在層」。同じ商品でもフェーズによってWhoが変わる。
Whatも同じです。認知フェーズでは商品の機能説明よりも、ユーザーの課題に共感するコンテンツの方が効きます。獲得フェーズでは、具体的な効果や他社比較が効く。
最上段のKPIが定まっていない状態でWho・What・Howを議論しても、前提がないまま空中戦になります。
代理店にフルファネルの設計を任せきりにすると危険な理由
代理店のビジネスモデルは基本的に「広告配信量 × 手数料率」です。この構造上、認知フェーズよりも獲得フェーズに重心が寄りやすい。広告を回せば回すほど代理店の売上が上がるからです。
これは代理店が悪いということではなく、ビジネスモデルがそうなっているだけです。
だからこそ、フルファネルの最上段の設計は発注者側が主導権を持つべきです。事業のフェーズを一番理解しているのはクライアント自身だからです。
代理店には「今はこのKPIを追ってほしい」と明確に伝える。そのために必要なのは、自社の事業フェーズを正しく把握して、追うべきKPIを自分で判断できる力です。
まず確認すべきこと
自社が今どのフェーズにいるか。認知なのか獲得なのか定着なのか。
この判断ができるだけで、代理店との会話の質が変わります。そして代理店に丸投げしていた施策の方向性を、自分でコントロールできるようになります。