LPを作る前に確認しないと、広告費が全部溶ける。制作・リニューアルを発注する前の判断基準

LPの制作やリニューアルを発注する前に確認すべきは、流入の質、離脱箇所、オファーの3つです。CVRが低い原因はLPの表現より手前にあることが多く、ここを飛ばして作り直すと、制作費と広告費の両方が無駄になります。3つを確認して問題がLPの特定の箇所にあるなら部分改修、構成やオファーそのものが合っていないときに初めて作り直す。この順番で判断します。
広告で成果が出ていないとき、多くの発注者が最初に考えることがあります。
LPをリニューアルすれば改善するのではないか。
この発想自体は間違っていません。LPの質は成果に大きく影響します。ただ、問題がLPより手前にあることも非常に多い。
そして代理店や制作会社がLP制作を提案するとき、その手前の問題を詳しく指摘することはあまりありません。30万円から100万円以上かかるLP制作を受注することと、「今は作り直す必要がない」と伝えることでは、提案する側の売上がまったく違うからです。私自身がその立場にいた時期があるので、この構造はよく分かります。
この記事では、発注する前に発注者自身が確認できることを、順番に整理します。
目次
LPの前に確認すべき3つのこと
CVRが低いとき、原因は大きく3つの層に分かれます。
① 流入の質:そもそも見込みのある人がLPに来ているか
② 離脱箇所:LPのどこで人が離れているか
③ オファー:何を、いくらで、どんな条件で提案しているか
LPの表現(デザインや文章)は、この3つが整ったあとに効いてくる要素です。順番を逆にすると、作り直しても数字が動かない、という結果になります。
流入の質を確認する
LPのCVRが低い原因として最も多いのは、LPではなく、来ている人の問題です。見込みのない人が来ていれば、どれだけ良いLPでも申込にはつながりません。
流入元ごとのCVRを並べる
アクセス解析で、広告、自然検索、SNSなど、流入元ごとのCVRを並べます。
| 流入元(例) | セッション | CV | CVR |
|---|---|---|---|
| 検索広告 | 1,200 | 24 | 2.0% |
| SNS広告 | 3,000 | 9 | 0.3% |
| 全体 | 4,200 | 33 | 0.8% |
この例では、全体のCVRは0.8%ですが、検索広告は2.0%、SNS広告は0.3%です。LPが悪いのではなく、SNS広告で集めている層が合っていない可能性が高い。この状態でLPを作り直しても、SNS広告から来る人の申込は増えにくいです。
広告のターゲットと訴求を確認する
特定の流入元だけCVRが極端に低いなら、そのチャネルのターゲット設定と、広告の訴求を確認します。広告で約束した内容とLPの内容がずれていると、クリックした人はすぐに離れます。
離脱箇所を特定する
LP全体のCVRだけを見ても、どこに問題があるかは分かりません。ヒートマップやスクロールの到達率で、人がどこで離れているかを確認します。
離れている位置で、疑う箇所が変わる
| 離脱が多い位置 | 疑う箇所 |
|---|---|
| ファーストビュー | 広告との一貫性、キャッチコピー、表示速度 |
| 価格の手前 | 価格に見合う価値の説明が足りていない |
| 申込ボタンの手前 | 実績や口コミなど、信頼の材料が足りていない |
| フォームの途中 | 入力項目が多い、必須項目が重い |
ファーストビューの見直しで離脱率が69%から62%に下がった例はファーストビューの記事で、口コミの位置で申込ボタンへの到達率が変わった例は口コミの配置の記事で紹介しています。
データが無いなら、先に計測の環境を作る
ヒートマップを入れていない、フォームに到達した人数が取れていない、という状態なら、判断の材料がありません。まずは次の3つが見える状態にします。
- ページのどこまでスクロールされたか(到達率)
- 申込ボタンが何回押されたか
- フォームを開いた人数と、送信まで進んだ人数
2〜4週間分のデータがあれば、離脱の位置はおおよそ見えてきます。計測を入れる費用は、LPを作り直す費用よりずっと小さく済みます。
問題が1箇所なら、作り直しではなく部分改修
離脱が特定の位置に集中しているなら、そこだけ直せば済みます。問題箇所が分からないまま全体を作り直すと、うまくいっていた部分まで変えてしまうことがあります。
オファーを確認する
デザインや文章に目が向きがちですが、最も根本的な問題がオファーにあることがあります。オファーとは、何を、いくらで、どんな条件で提供するかという、提案の中身そのものです。
競合と並べて、選ぶ理由があるか
競合と同じ内容、同じ価格帯、同じ条件で、デザインだけ変えてもCVRはほとんど変わりません。検索結果や広告で競合のLPを3〜5本並べ、自社を選ぶ理由が1行で言えるかを確認してください。
「今申し込む理由」があるか
無料の診断、初回限定の条件、資料請求など、いきなり契約や購入を求めない入口があるか。見込み客にとって申込のハードルが高すぎると、LPの表現を磨いても数字は動きません。
特にBtoBや高額な商材では、LPを見てすぐに問い合わせる人は多くありません。比較や社内の検討を経てから動くので、その途中で受け取れる資料や診断があるかどうかで、取りこぼしの量が変わります。
作り直すべきか、部分改修で済むかの判断基準
3つを確認したら、次の表で判断します。
| 確認した結果 | 判断 |
|---|---|
| 流入元によってCVRが大きく違う | LPより先に、広告のターゲットと訴求を直す |
| 離脱が特定の位置に集中している | その箇所の部分改修 |
| オファーが競合と同じで選ぶ理由がない | オファーを先に設計し直す |
| 訴求の軸や構成そのものが、今の顧客に合っていない | 作り直しを検討する |
| 計測ができておらず、どれも確認できない | まず計測の環境を整える |
作り直しが必要になるのは、3つを確認したうえで、LPの構成や訴求の軸そのものがずれていると分かったときです。
作り直す場合も、旧LPと並べて比べる
新しいLPを公開したら、旧LPをすぐに止めず、予算を分けて同時に配信します。時期が違うと、季節や競合の影響でCVRが変わってしまい、LPの差なのか時期の差なのかが分からなくなるからです。
比べるときは、それぞれのCVが数十件貯まってから判断します。CVが10件程度だと、偶然のブレだけで3割前後の差が出ることがあります。数件の差で「新LPのほうが良い」と決めると、あとで数字が戻ってしまいます。記事型とアンケート型のLPを並べて比べた例はLP形式の比較記事で紹介しています。
発注する前に揃えておく材料
作り直すと決めた場合も、発注前に次の材料を揃えておくと、提案の質が変わります。
- 流入元ごとのCVRと、離脱が多い位置のデータ
- 申込した人の属性と、成約した人の属性
- 競合のLPと、自社を選ぶ理由の整理
- 今のLPで残したい要素と、変えたい要素
- 公開後に何の数字で成否を判断するか
この材料なしで発注すると、提案はデザインの好みの話になりがちです。制作費の相場と依頼先の選び方はLP制作費用の記事にまとめています。
代理店や制作会社の提案を受けるときの注意点
提案に悪意がなくても、発注者側の理解が浅いと、本質的でない施策に費用が流れていきます。どの会社と組んでも起こりうる、構造的な問題です。
LPの提案を受けたら、次の2つを聞いてください。
- 今のLPのどこに問題があると判断したのか。その根拠となるデータは何か
- 作り直さずに、部分改修で改善できる可能性はないか
この問いに、データを示して答えられる提案かどうかで、信頼できる相手かが分かります。私自身、LP制作の話をする前に必ず「今のLPのどこで離脱しているか確認できていますか」と聞きます。データがなければ、まず計測の環境を整えるところから始めます。
まとめ:作り直しは、最後の選択肢
- LPの前に、流入の質、離脱箇所、オファーの3つを確認する
- 流入元ごとのCVRが大きく違うなら、先に広告を直す
- 離脱が特定の位置に集中しているなら、部分改修で済む
- オファーが競合と同じなら、デザインより先にオファーを設計する
- 作り直すのは、構成や訴求の軸そのものがずれていると分かったとき
広告費を守れるのは、知識を持った発注者だけです。CVRが上がらないときの切り分けはCVR改善の記事でも整理しています。
よくある質問
LPを作る前に確認すべきことは何ですか?
流入の質、離脱箇所、オファーの3つです。この手前の問題を放置してLPを作り直しても、制作費と広告費の両方が無駄になりやすいです。
CVRが低い原因はLPにあるのですか?
最も多いのは、流入している人の質の問題です。流入元ごとのCVRを並べて、特定のチャネルだけ極端に低いなら、先に広告のターゲットと訴求を見直します。
離脱箇所はどう特定すればいいですか?
ヒートマップやスクロールの到達率を使います。ファーストビュー、価格の手前、申込ボタンの手前、フォームの途中など、離れている位置によって疑う箇所が変わります。
LPは作り直すべきですか、部分改修で済みますか?
離脱が特定の位置に集中しているなら部分改修で済みます。構成や訴求の軸そのものが今の顧客に合っていないと分かったときに、作り直しを検討します。
デザインを変えればCVRは上がりますか?
上がりにくいです。競合と同じオファーと価格帯でデザインだけ変えても、選ぶ理由と今申し込む理由が伝わらなければ数字は動きません。
代理店がLP制作を勧める理由は何ですか?
LP制作自体が売上になるためです。提案を受けたら、問題があると判断した根拠のデータと、部分改修で改善できる可能性を確認してください。