AIで広告運用は変わったのか。現場で2年以上使い続けた正直な話。
AIで広告運用は変わりましたが、楽になったのは作業だけです。レポート整理やCSV整形、入稿といった作業は自動化で消えます。一方で予算配分やクリエイティブ選定といった判断、戦略やターゲットの設計は、むしろ質が問われるようになりました。AI活用の差は使い方ではなく問いの立て方で決まり、これから生き残るのは作業が速い人ではなく設計ができる人です。
大手広告代理店出身のつじです。AIが台頭してはや3年近くが経ちました。そんな最中ですが、AIが台頭して、広告運用の仕方は変わったのか?という話をしようと思います。
私のAI遍歴ですが、ChatGPT→Genspark→Gemini→Perplexity→ChatGPT→Claudeです。Figma、Notion、NotebookLMは適宜使っています。
ある時からChatGPTが何だかんだ頭が良いと思って使っていましたが、Claudeが軽く超えました。ただ、結局これは金太郎飴な気もしていて、細かくは別の記事でまた書いてみようと思います。
で、AIを使って運用が変わったか?ですが、結論、変わりました。ただし、思っていたことと違う部分が変わりました。
広告の入稿作業が楽になるとか、CVが自動で上がるとか、そういうテクニカルな話ではなく、変わったのは、自分が何に時間を使うかの配分です。
変わったこと、変わらなかったこと
Meta・Google・X・LINEなど複数の媒体を横断して広告を動かしていると、日々の業務はざっくり3種類に分かれます。
・作業(データ取得・レポート整理・入稿)
・判断(予算配分・クリエイティブ選定・改善方針・提案)
・設計(戦略・ターゲット・訴求軸の組み立て)
AIを入れる前、この3つに使う時間の比率は体感で作業5:判断3:設計2でした。今は作業2:判断3:設計5くらいになっています。
つまり、作業の大半が消えました。レポートのコメント生成、CSVの整形、クリエイティブの命名規則確認、媒体横断のサマリー作成。これらは仕組みを作れば自動化できる。もちろん、代理店時代は法人契約で大層なレポート管理ツールを使っていたわけですが、それでも結局レポートを整形する必要がある。だから、時間は必ずかかってしまっていた。
一方で、判断と設計はほぼ変わっていません。正確に言うと変わってはいるんですが、楽になったわけじゃない。むしろ質が問われるようになった、という感覚です。
これはいわゆる骨子的な部分、4割程度の出来へ持っていくことへの労力の部分はある種AIに任せています。しかし、結局これだけでは形骸化した提案や設計にしかならないわけで、残りの6割が肝となります。逆に4割への負担がなくなった以上は、6割の部分での勝負が他代理店と発生します。だから、ここを詰めるための考え方、視点が以前より上がったと感じます。トータルでは楽になったわけではなく、もっとしんどくなったのが事実です。
AIに何をやらせているか、具体的に書く
実際にどう使っているかを書きます。
クリエイティブの仮説出しは、訴求軸をClaudeに壁打ちするところから始めています。商材の特徴・ターゲット・競合状況を整理して、刺さりそうな切り口を10案出してもらう。出てきたものをそのまま使うのではなく、自分の経験と照合しながら2〜3本に絞る。この往復が、一人でゼロから考えるより圧倒的に速い。
日別の実績データからのクリエイティブの疲弊検知は、CTRの傾きを計算して自動でフラグを立てる仕組みを作りました。このクリエイティブはあと何日持ちそうか、が数値で出る。人間の感覚で気づくより早く、差し替えのタイミングを掴めるようになりました。個人的に、自分でシステムを組んだものの方が数値をちゃんと見る習性がありまして、これは私だけですかね(笑)。
レポートのコメントは、実績数値を渡して担当者目線の解釈と翌月の方針を出力させています。ただし、これはあくまで日本語的な整形にとどまり、細かなレビューについては私の方で作り直したりもしていたため、最終的な日本語チェックに留まっていたかと思います。
代理店とコンサルの違いはここだと思う
広告代理店の仕事を6年近く見てきて、AIが普及してから改めて思うことがあります。
代理店がやっていることの大半は、作業の受託です。提案などいろいろあるとは思いますが、結局支払っている対価の多くが実は、入稿、レポート作成、媒体との調整になります。ただし、これらはAIと仕組み化で代替できてしまうんですよね。
残るのは何かというと、なぜその施策をやるのかを設計する部分です。この媒体に予算を集中させる理由、このターゲットに絞る理由、このクリエイティブを止める判断。これは数字の背景を読んで、事業の文脈に照らし合わせてはじめて出てくる。
AIは判断しません。正確に言えば、判断のように見える出力を返すことはできるけれど、その判断が事業にとって正しいかどうかを検証する文脈を持っていない。
だから、AIを使いこなせる人とそうでない人の差は、AIの使い方ではなくて、問いの立て方が全てです。何を聞くか、どういう文脈を渡すか。そこが設計者としての仕事になってきた。
これから広告運用で生き残る人のタイプ
作業が速い人ではなく、設計ができる人。AIを使って作業を消した後に、何を考えているかが問われる時代になっています。
ツールは民主化されます。Metaの広告管理画面は誰でも触れるし、レポートの自動生成も誰でもできるようになる。差がつくのは、その数字をどう読んで、どう次の手を設計するか、そこだけです。
広告運用を任せる構造のまま代理店に出し続けるのか、設計ごと自社に取り込むのか。AIの普及でその選択を迫られる会社が増えていると感じます。
この記事を読んでいる方の中に、代理店のレポートを毎月受け取りながら、何が改善されているのかよくわからないと感じている人がいれば、一度、設計から見直すことをおすすめします。
よくある質問
AIで広告運用は楽になりますか?
楽になるのは作業だけです。判断と設計はむしろ質が問われるようになり、トータルではしんどくなったというのが現場での正直な実感です。
AIで具体的に何が自動化できますか?
レポートのコメント生成、CSVの整形、命名規則の確認、媒体横断のサマリー作成など、仕組みを作れば作業の大半は自動化できます。
AIに任せていい領域と任せてはいけない領域は?
データ取得やレポート整理などの作業は任せられます。予算配分やクリエイティブ選定の判断、戦略やターゲットの設計は人が担う領域です。
クリエイティブの仮説出しにAIはどう使えますか?
商材の特徴やターゲット、競合状況を整理して切り口を10案出させ、自分の経験と照合しながら2〜3本に絞ります。一人で考えるより速く進みます。
AIを使いこなせる人とそうでない人の差は何ですか?
問いの立て方です。何を聞くか、どういう文脈を渡すか。使い方そのものではなく、設計者としての問いの質が差になります。
これから広告運用で生き残るのはどんな人ですか?
作業が速い人ではなく設計ができる人です。数字をどう読み、どう次の手を設計するかが問われる時代になっています。
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