広告費の無駄、月次レポートでは見えない。発注者が自分で確認する5つの方法。
毎月代理店からレポートが届く。数字を見ると悪くない。CPAも想定内、クリック数も増えている。それでもなぜか売上が伸びていない、問い合わせの質が低い、という感覚を持っている発注者は少なくありません。
その感覚は正しいことが多いです。月次レポートに載っている数字は、あくまで代理店が管理している媒体の数字です。そこに映らない無駄が、実際の広告費の中には相当な割合で含まれています。
代理店の内側にいたとき、レポートに出てこない数字の方が実態を示していると感じた場面が何度もありました。今回は、発注者自身がチェックできる5つの確認方法を整理します。
月次レポートが示す数字の限界
代理店のレポートには、基本的に媒体ごとの数字が並びます。クリック数、表示回数、クリック率、コンバージョン数、CPA。これらは確かに重要な指標ですが、すべての問題を映し出すわけではありません。
レポートで見えにくくなりやすいものとして、コンバージョンの質の問題があります。CPAが目標内でも、そのコンバージョンの半数が後で失注している、あるいはそもそも見込み客として成立していなかった、というケースは実際によくあります。媒体上の数字は良くても、事業の数字に繋がっていない状態です。
また、計測のズレも見えにくい問題です。コンバージョンがダブルカウントされている、実際には成立していない問い合わせがコンバージョンとして計上されている、といった状態で運用が続いているケースも珍しくありません。
チェック①:コンバージョンの中身を確認する
まず確認したいのが、カウントされているコンバージョンの内訳です。
問い合わせフォームからのCVを計測している場合、フォーム送信後の「完了ページ」が正しく計測されているかを確認します。途中離脱がCVとして計上されていないか、テスト送信が含まれていないかを見てください。
あわせて、コンバージョンした後の実際の商談化率や成約率を代理店と共有することを推奨します。広告経由で入ってきたリードが実際に案件になっているかを追うことで、媒体の数字では見えない質の問題が浮かび上がります。あるBtoB企業で広告経由のリードを追跡したところ、CVの42%がスパムや明らかな検討外からの送信だったという事例があります。
チェック②:検索広告を使っている場合、検索クエリを見る
Google広告やMicrosoft広告でリスティング広告を運用している場合、検索語句レポートを確認してください。これは、実際にどんなキーワードで広告がクリックされたかを示すレポートです。
このレポートを見ると、意図していないキーワードで広告が出ていることに気づくケースがあります。競合他社の社名、全く関係のない業種のキーワード、明らかに購買意図のない検索語句。これらは除外キーワードの設定で防げますが、放置されていることが多いです。
月次レポートのCPAが良く見えていても、無駄なクリックが含まれていれば、質の高いユーザーへ届けられるはずの予算が削られています。検索語句レポートは代理店に依頼すれば必ず出してもらえます。
チェック③:LP到達後の離脱率を確認する
広告をクリックして LP に来たユーザーが、すぐ離脱していないかを確認します。Google Analytics などのアクセス解析で、広告経由のセッションの直帰率や滞在時間を見てください。
直帰率が80%を超えている場合、広告のターゲティングかクリエイティブとLPの内容がズレている可能性があります。クリックは発生しているが、来た人が求めているものと見せているものが違う状態です。この状態では、クリック費用がそのまま無駄になっています。
月次レポートにはクリック数が載っていても、その後の行動は媒体管理画面には出てきません。アクセス解析と組み合わせて見ることが必要です。
チェック④:時間帯・曜日別の配信実績を見る
広告が最もコンバージョンしやすい時間帯と、実際に予算が多く使われている時間帯がずれていないかを確認します。
BtoB向けのサービスであれば、週末や深夜の配信はコンバージョン率が低いことが多いです。それでも均一に配信されていれば、成果に結びつきにくい時間帯に予算が流れています。曜日別・時間帯別の入札調整が適切に設定されているかを代理店に確認してください。
この調整がされていない案件は実際に多く、設定を変えるだけでCPAが15〜20%改善したというケースも経験しています。
チェック⑤:広告経由とオーガニックのCVを比較する
広告を止めたとき、どれくらいのCVが消えるかを把握できていますか。
広告経由のCVとオーガニック(SEOや指名検索)経由のCVを分けて確認すると、広告が本当に増分を作っているかどうかが分かります。広告を出していなくても指名検索で来る層に、広告費を使い続けているケースがあります。
これはアトリビューションの問題とも絡みますが、少なくとも「広告をかけていないとどうなるか」を年に一度でも検証することには意味があります。広告費の一部が、広告なしでも取れるユーザーへの費用になっていないかを確認できます。
5つのチェックを通じて見えてくること
これら5つの確認は、代理店に依頼しなくても発注者自身で取り組める内容です。専門的なツールは必要なく、Google Analytics と広告管理画面へのアクセス権限があれば確認できます。
この5つを確認するだけで、現在の広告費のうちどの部分が実際の成果に繋がっていて、どの部分が無駄になっているかの輪郭が見えてきます。月次レポートの数字を鵜呑みにするのではなく、発注者自身が判断材料を持つことが、広告費の最適化の出発点です。
確認した結果、代理店に改善を依頼しても動きがない場合は、見直しのタイミングと判断していいと思います。