広告効果の測定、代理店任せでは見えていない数字がある。

この記事の結論

広告効果の測定を代理店任せにすると、計測のズレやアトリビューションの重複が見えないまま運用が続きます。計測がズレていれば最適化も判断もすべてズレます。発注者は、何をコンバージョンとして計測しているかを把握し、月に一度テスト送信で確認し、Google Analyticsと広告管理画面の数字を比較することが計測の出発点になります。

広告の効果を判断するとき、代理店から届くレポートの数字だけを見ている発注者は多いです。しかし代理店のレポートには、代理店が管理している媒体上の数字しか載っていません。

これがどういう問題を生むかというと、計測がズレているまま運用が続いていても、レポートの数字は正常に見えることがあります。計測環境の問題は、レポートを見るだけでは発見できません。

代理店にいたとき、新規でアカウントを引き継いだ際に計測設定を確認すると、過去数ヶ月にわたってコンバージョンが二重にカウントされていたというケースが複数ありました。前任者も代理店も気づいていない状態で、CPAが実際より良く見えていたわけです。

計測がズレると何が起きるか

広告の最適化は、コンバージョンデータを元に行われます。Meta広告もGoogle広告も、機械学習を使って「コンバージョンしやすいユーザーに配信する」という仕組みを持っています。

つまり、計測がズレていれば最適化の方向もズレます。本来コンバージョンではない行動をコンバージョンとしてカウントしていれば、そのデータを元に最適化が進み、コンバージョンしない層への配信が強化されていきます。

コンバージョン計測が正確でない状態での広告運用は、ハンドルが壊れた車で目的地を目指すようなものです。どれだけ丁寧に運転しても、正しい方向には向かいません。

よくある計測のズレのパターン

現場でよく見かける計測問題を整理します。

【ダブルカウント】

GTMとハードコードの両方でタグが設置されており、1件の送信が2回カウントされている。CV数が実際の2倍に見えているため、CPAも半分に見える。

【完了ページ以外でのタグ発火】

フォームの途中ページや確認ページにタグが置かれており、送信を完了していないユーザーもCVとしてカウントされている。CVRが実態より高く見える。

【電話タップをCVとしてカウント】

スマホで電話番号をタップした行動をCVとしているが、実際に電話をかけたか、商談に繋がったかは別問題。CVの質が担保されていない。

【テスト送信の混入】

LP公開前後にテスト送信を行い、そのデータが計測に混入したまま残っている。特に運用初期のデータに影響することが多い。

これらのいずれかに当てはまるケースは、クライアントの計測設定を確認すると3〜4割程度の頻度で見つかりました。珍しい問題ではありません。

アトリビューションの問題も理解しておく

計測が正確でも、もう一つ理解しておく必要があるのがアトリビューションです。

アトリビューションとは、1件のコンバージョンをどの広告の成果として帰属させるかのルールです。複数の広告に接触してからコンバージョンした場合、どの接触を成果として数えるかが媒体や設定によって異なります。

Meta広告とGoogle広告を並行して運用している場合、それぞれの管理画面に同じコンバージョンが両方カウントされていることがあります。Meta側でも「1件CV」、Google側でも「1件CV」として表示されていても、実際には1人のユーザーが両方の広告に接触してから1回コンバージョンしているだけ、というケースです。

これを足し合わせてCVの総数として報告されると、実態の2倍の数字に見えます。複数媒体を運用している場合は特に注意が必要です。

発注者が持つべき計測の基本的な視点

計測の細かい設定は代理店や技術者の領域ですが、発注者として最低限持っておくべき視点があります。

まず、何をコンバージョンとして計測しているかを把握することです。フォーム送信完了、電話タップ、資料ダウンロード、購入——これらのどれを計測していて、それが事業上の目標とどう繋がっているかを確認してください。

次に、月に一度テスト送信を行い、コンバージョンが正しくカウントされているかを確認することです。フォームを自分で送信して、管理画面でCVが1件増えるかを確認するだけです。これは特別な知識がなくても誰でもできます。

また、Google Analytics と広告管理画面の数字を時々比較することも有効です。両者の数字に大きなズレがある場合、計測設定に問題がある可能性があります。

計測の問題は「代理店のせい」とも限らない

計測がズレていたとき、それが代理店の怠慢かというと、必ずしもそうではありません。タグの設置はエンジニアやウェブ担当者が行っている場合も多く、代理店が管理できる範囲の外のこともあります。

ただ、計測がズレている状態で運用を続けることは代理店にとっても困る話です。誤ったデータで最適化しても、本来の成果は出せないからです。代理店に「計測環境を一度確認してほしい」と依頼することは、適切なリクエストです。

計測の正確性は、広告運用の出発点です。ここが整っていなければ、どれだけ優れた代理店に依頼しても、正しい判断ができない状態が続きます。

よくある質問

計測がズレていても代理店のレポートは正常に見えますか?

見えます。計測環境の問題はレポートの数字を見るだけでは発見できず、コンバージョンが二重にカウントされていてもCPAが実際より良く見えるだけです。

計測がズレると広告運用にどう影響しますか?

最適化の方向がズレます。MetaもGoogleも機械学習でコンバージョンしやすい層に配信するため、誤ったデータを元にコンバージョンしない層への配信が強化されます。

よくある計測のズレのパターンは?

ダブルカウント、完了ページ以外でのタグ発火、電話タップのCV計上、テスト送信の混入の4つです。確認すると3〜4割程度の頻度で見つかります。

アトリビューションとは何ですか?

1件のコンバージョンをどの広告の成果として帰属させるかのルールです。複数媒体を運用すると、同じCVが両方の管理画面に重複して計上されることがあります。

発注者が計測で最低限持つべき視点は?

何をコンバージョンとして計測しているかを把握し、それが事業上の目標とどう繋がっているかを確認することです。細かい設定は代理店や技術者の領域です。

計測が正しいか自分で確認する方法はありますか?

あります。月に一度フォームを自分でテスト送信し、管理画面でCVが1件増えるかを確認します。特別な知識がなくても誰でもできます。

計測のズレは代理店の責任ですか?

必ずしもそうではありません。タグの設置はエンジニアやウェブ担当者が行う場合も多く、代理店の管理範囲外のこともあります。

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