広告代理店への不満、8割の担当者が抱えながら動けない理由と最初の一手。

広告代理店への不満は、代理店の体制に起因する構造的な問題、担当者レベルの問題、発注者側に原因がある問題の3つに分けて考えます。種類によって最初の一手は違い、すべてを乗り換えで解決しようとすると、移行の手間だけかかって状況が変わらないことがあります。まず不満を分解し、代理店に3つの質問を投げて実態を確かめる。判断はそこからです。
中小企業の経営者やマーケ担当者を対象にした調査で、依頼中の広告代理店に不満があるという回答が約8割に達したというデータがあります。一方で、乗り換えない理由として最も多かったのは「探すのが面倒で時間が取れない」でした。
不満はある。でも動けない。
その間も、手数料と広告費は毎月出ていきます。代理店側にいた経験から言うと、発注者からの働きかけがない案件は、どうしても優先順位が下がりやすい。この記事では、不満の正体を分解し、種類ごとの最初の一手を整理します。
目次
広告代理店への不満は3種類に分けられる
不満を1つの塊として扱うと、代理店を変えても同じことが繰り返されます。まず3つに分けます。
構造的な問題
費用が高い、提案がない、レポートが薄い、といった不満の多くは、代理店のビジネスモデルや体制から来ています。担当者を変えても解決しにくく、契約内容の見直しか、代理店自体の変更が必要になります。
担当者レベルの問題
対応が遅い、話が噛み合わない、といった不満は、担当者の変更で改善することがあります。代理店を変える前に、まず担当の変更を依頼するのが最初の選択肢です。
発注者側に原因がある問題
「広告の効果が悪い」という不満の一部は、LPの品質、オファーの設計、計測の不備が原因です。この場合、代理店を変えても解決しません。原因の切り分けが先です。
不満の内訳:多いのは費用と効果
先の調査では、主な不満の内訳は次のとおりでした。
| 不満の内容 | 回答の割合 | 主な分類 |
|---|---|---|
| 費用が高い | 54% | 構造的な問題 |
| 広告の効果が悪い | 52% | 代理店と発注者側の混在 |
| 新しい提案がない | 36% | 構造的な問題 |
| レスポンスが遅い | 34% | 担当者レベルの問題 |
| レポートの内容が薄い | 34% | 構造的な問題 |
注意したいのは2位の「効果が悪い」です。代理店の問題である場合と、広告の外側の問題である場合が混ざっています。ここを分けずに乗り換えると、移行コストだけがかかります。
不満を抱えながら動けない理由
「探すのが面倒」が最大の理由になっているのは、裏を返せば、代理店の探し方と見極め方が分からないということです。
比較サイトや紹介サービスの多くは、代理店が掲載料を払うモデルです。掲載されていることと、自社の課題に合っていることは別の話で、紹介経由で選んだ代理店がまた合わなかった、というケースも珍しくありません。
代理店側にいたとき、競合比較で選ばれた案件より、知人の紹介で来た案件のほうが長く続く傾向がありました。発注者が代理店の実態を判断する材料が少ない以上、信頼できる人の紹介が最も確度が高くなるのは自然なことです。
不満別、最初に取るべき一手
いきなり乗り換えに動くより、不満の種類ごとに段階を踏むほうが現実的です。
費用が高い
まず契約内容を見直します。料率型を固定額に変えられないか、最低手数料や別料金の範囲を調整できないかを交渉します。相場との比べ方は手数料の相場の記事にまとめています。
新しい提案がない
発注者から渡す情報を増やすと変わることがあります。今期の事業目標、競合の動き、社内で優先したい商材。提案がないのは、材料がないから提案できない、という場合もあります。
レポートが薄い
見たい数字とフォーマットを、発注者側から指定します。レポートの形式を変えてほしいと依頼するのは発注者の当然の権利です。何を見るべきかは代理店レポートの見方の記事で書いています。
対応が遅い
担当者の変更を依頼するのが最初の選択肢です。契約はそのままに、担当だけ変えてもらえることは多い。変更を依頼しても改善しなければ、それが乗り換えを考える判断材料になります。
広告の効果が悪い
代理店に「今のアカウントの課題はどこにあると診断しているか」を言葉にしてもらいます。答えの具体性で、代理店の実力と問題の所在が同時に分かります。
問い合わせは来るのに成約しないときの切り分け
効果への不満で多いのが、「問い合わせや申込の件数は出ているのに、成約につながらない」という形です。この場合、原因は代理店の運用だけとは限りません。
広告が最適化している地点を確認する
広告は、指定されたCV地点を増やすように配信されます。フォーム送信をCVにしていれば、フォームを送信しやすい人に配信が寄ります。その人たちが成約しやすい人とは限りません。成約率が低いなら、まず何をCVにして最適化しているかを確認します。
CVのあとの工程の数字を並べる
問い合わせから商談、商談から成約までの率を月ごとに並べます。問い合わせから商談への率が下がっているなら、広告で集めている層か、フォームの設計に問題がある可能性があります。商談から成約への率が下がっているなら、営業の工程側の問題です。
申込フォームの項目設計で離脱や質が大きく変わった例は申込フォームの記事で紹介しています。
代理店の実態を測る3つの質問
不満を抱えているなら、まず次の3つを代理店に聞いてみてください。
① 先月の運用で変えた設定と、その理由を教えてください
② 今のアカウントで、最も改善の余地がある箇所はどこですか
③ 担当者は現在、何社の案件を担当していますか
①に「全体的に最適化しました」のような抽象的な答えしか返ってこなければ、実質的な運用が行われていない可能性があります。
②に「特に問題はありません」と返ってくる代理店は、改善の視点を持っていないか、課題を発注者に伝える習慣がないかのどちらかです。
③で担当社数が10社を超えていれば、週40時間の稼働として1社あたり4時間以下です。適正かは案件の規模によりますが、工数の実態を知る材料になります。
探す時間がないときの現実的な方法
通常業務をこなしながら代理店を探し、比較し、契約して移行する。これをゼロから進めると、相当な工数がかかります。
現実的なのは、代理店選定を第三者に手伝ってもらう方法です。広告運用の外部顧問やコンサルタントに候補の絞り込みと見極めを任せれば、かかる時間は大きく減ります。費用はかかりますが、合わない代理店との契約が続くコストと比べれば、安く済むことが多いはずです。
私自身も、今の代理店への不満から相談に来られた会社の代理店選定を手伝うことがあります。代理店の内側を知っていると、提案の段階では見えにくい「実際に動く代理店かどうか」を見極めやすくなります。
まとめ:乗り換えの前に、不満を分解する
- 不満は、構造的な問題、担当者の問題、発注者側の問題の3つに分ける
- 費用は契約の見直し、提案不足は情報提供、対応の遅さは担当変更が最初の一手
- 成約しない不満は、最適化しているCV地点と、CVのあとの工程の率で切り分ける
- 先月の変更、改善の余地、担当社数の3つの質問で代理店の実態を測る
- それでも動かなければ、乗り換えを判断する
月の広告費が150万円で手数料20%なら、代理店には毎月30万円、半年で180万円を払っています。その金額に見合っていないと感じているなら、動かないことが一番高くつきます。乗り換えを決めたあとの手順は乗り換えガイドで整理しています。
よくある質問
広告代理店に不満を持っている人はどれくらいいますか?
中小企業の経営者やマーケ担当者を対象にした調査では、依頼中の代理店に不満があるという回答が約8割に達しています。一方で、乗り換えまで動けている人は多くありません。
代理店への不満で最も多いのは何ですか?
費用が高いが54%で最多です。次いで広告の効果が悪い52%、新しい提案がない36%、レスポンスが遅い34%、レポートが薄い34%と続きます。
代理店を変える前にまず何をすべきですか?
不満の種類を分けます。費用は契約の見直し、提案不足は情報提供の強化、対応の遅さは担当者変更の依頼が最初の一手です。
広告代理店の対応が遅いときはどうすればいいですか?
まず担当者の変更を依頼します。契約はそのままで担当だけ変えてもらえることは多く、それでも改善しなければ乗り換えを検討する判断材料になります。
問い合わせは来るのに成約しないのは代理店のせいですか?
代理店だけの問題とは限りません。広告が最適化しているCV地点と、問い合わせから商談、商談から成約までの率を並べると、原因が広告側か営業の工程側かを切り分けられます。
今の代理店がちゃんと運用しているか確認する方法は?
先月変えた設定とその理由、最も改善の余地がある箇所、担当者の担当社数の3つを質問します。抽象的な答えしか返らなければ、運用が停滞している可能性があります。
乗り換え先を探す時間がない場合はどうすればいいですか?
代理店選定を第三者に手伝ってもらう方法があります。合わない代理店との契約が続くコストと比べると、選定の手伝いにかかる費用のほうが安く済むことが多いです。