フォロワー1人17円は、実際には91円だった。キャンペーンの実質獲得単価の出し方

フォロー&リポストキャンペーンの獲得単価を「広告費 ÷ フォロワー増加数」で出すと、実態より大幅に安く見えます。増加数にはオーガニックで来た人が混ざっており、そのうえ一定数が後から解除するためです。ある案件では、この計算で17円に見えていた単価が、広告経由の純増だけで割り直すと91円でした。約5倍の差です。判断すべきはこの実質単価のほうです。
SNSキャンペーンの報告書で、いちばんよく見る数字が「フォロワー獲得単価」です。広告費をフォロワーの増加数で割った値で、たいてい驚くほど安く出ます。
ただ、この数字を信じて予算を追加すると、ほぼ確実に期待を下回ります。計算式の分母が、実際には広告で獲得していない人を含んでいるからです。
この記事では、実際に運用しているIPコラボ型のオンラインくじ事業のキャンペーン実測値をもとに、表面の単価と実質の単価がどれだけずれるか、そして実質値をどう出すかを書きます。
目次
17円と91円。同じキャンペーンの、2つの単価
あるフォロー&リポストキャンペーンで、リポストは1万件を超えました。フォロワーも大きく増え、広告費を増加数で割った単価は17円でした。
ここで内訳を見に行くと、話が変わります。プロモーション(広告配信)経由で参加した人は、全体の5%未満でした。残りはオーガニックの拡散、つまり広告費を使わなくても来ていた人です。
広告経由の獲得だけで割り直すと、単価は91円になりました。
| 計算方法 | 単価 | 何を測っているか |
|---|---|---|
| 広告費 ÷ フォロワー増加数 | 17円 | キャンペーン全体の見かけの効率 |
| 広告費 ÷ 広告経由の純増数 | 91円 | 広告費を追加したとき、実際に増える人の単価 |
予算を判断するときに必要なのは、後者です。「あと10万円入れたら何人増えるか」を答えられるのは、実質単価のほうだけだからです。17円で計算すると、実際の5倍以上の見込みを立ててしまいます。
ずれる理由は3つある
1. オーガニック分が分母に混ざる
キャンペーンは広告なしでも一定数が拡散します。特にIPやブランドの力を借りる企画は、公式アカウントのリポストだけで大きく伸びます。その分まで広告の成果として数えると、単価はいくらでも安く見せられます。
2. 増えた人が、あとで減る
景品目当ての参加者は、抽選が終わると離れます。手元の11キャンペーンを累計すると、こうなります。
| 項目 | 累計 |
|---|---|
| 新規フォロー | 44,323 |
| フォロー解除 | 5,577 |
| 純増 | 37,746 |
| 1キャンペーンあたり平均純増 | 3,431 |
解除は新規フォローの約12.6%です。増加数のピーク値で単価を出すと、この1割強を「獲得した」と数え続けることになります。
3. 既存フォロワーが参加してもフォロワーは増えない
すでにフォローしている人がリポストしても、フォロワー数は動きません。リポスト数は伸びるので画面上は盛り上がって見えますが、その拡散が新規に届いていなければ、獲得はゼロです。エンゲージメント率が高い投稿が売上に貢献しないのと同じ構造です。
実質単価を出す手順
難しい分析は要りません。4ステップです。
- 期間を揃える。キャンペーン開始日から、終了後1〜2週間(解除が落ち着くまで)を1区間とする
- 純増を取る。新規フォロー数ではなく、新規フォロー − 解除の値を使う
- 広告経由分を切り出す。プロモーション経由の参加比率で純増を按分する。比率が取れない場合は、広告を止めていた日と配信していた日の増加ペースを比べて差分を見る
- 広告費 ÷ 広告経由の純増で割る
表面の単価は「キャンペーンが成功したか」を語る数字。
実質の単価は「次にいくら入れるか」を決める数字。用途が違う。
企画の型で、単価の上限が決まる
同じ運用でも、企画の設計によって獲得効率は最初から違います。インプレッションに対してフォロワーがどれだけ増えたかで比べると、こうなりました。
| 企画の型 | フォロー率(Imp対フォロー増加数) |
|---|---|
| ギフト券などの単純な景品配布型 | 0.98% |
| IP・ブランドとのタイアップ型 | 1.89% |
約2倍の差です。運用の巧拙より前に、「その企画に参加する動機が景品なのか、対象そのものなのか」で効率が決まっています。景品配布型で単価を改善しようと入札を調整しても、この差は埋まりません。
繰り返すと必ず減衰する
もう一つ、予算を組むときに知っておくべきことがあります。同じ設計のキャンペーンを近い間隔で続けると、獲得数は落ちます。
実測では、近接して実施した2本で2,401人 → 1,897人(約21%減)となりました。原因は運用ミスではなく構造です。
- 同じ層にインプレッションが集中し、既に見た人にしか届かなくなる
- リポスト経由のリーチが、以前ほど伸びなくなっている
- すでにフォローしている人が参加を占め、新規につながらない
- キャンペーン参加を目的とするアカウント同士の間で拡散が循環し、外に出ない
対策は入札ではなく企画側にあります。景品とコンセプトとターゲティングを毎回変えて、前回とは違う層に当てにいくことです。同じ企画の再実行は、2回目以降は別物として単価を見積もってください。
チェックリスト:キャンペーンの報告を受け取ったとき
- フォロワー獲得単価が、増加数ではなく純増(解除を引いた数)で計算されている
- 解除数が報告書に載っている(載っていなければ必ず聞く)
- 広告経由の参加比率が出ている
- リポスト数ではなく、新規に届いた数で拡散を評価している
- 次回予算の見積もりが、表面単価ではなく実質単価で計算されている
- 2回目以降の企画で、前回からの減衰が織り込まれている
- そもそも増やしたフォロワーが、事業の売上につながる経路が設計されている
最後の項目がいちばん重要です。単価をどれだけ精緻に出しても、フォロワーが売上に変わる導線がなければ意味がありません。バズらせるより売れる導線を作るほうが先だという話は、キャンペーンにもそのまま当てはまります。
よくある質問
フォロワー獲得単価の相場はいくらですか?
計算方法によって同じキャンペーンでも数倍変わるため、相場という形では比べられません。実例では、広告費÷フォロワー増加数では17円、広告経由の純増だけで割ると91円と約5倍の差が出ました。他社の数字と比較する前に、まず自社の数字がどちらの計算かを確認してください。
リポストが1万件を超えたのに、フォロワーがあまり増えないのはなぜですか?
リポストしている人の多くが既存フォロワーだと、拡散しても新規獲得にはつながらないためです。またキャンペーン参加を目的とするアカウント同士で拡散が循環すると、同じ層の中を回るだけで外側の新規層に届きません。リポスト数ではなく、新規に届いた数で評価してください。
同じキャンペーンを繰り返すと、なぜ効果が落ちるのですか?
同じ層にインプレッションが集中し、すでに見た人にしか届かなくなるためです。実測では近接して実施した2本で2,401人から1,897人へ、約21%減少しました。入札調整では戻らないため、景品・コンセプト・ターゲティングを変えて別の層に当てる設計が必要です。