SNS運用は必要か。フォロー率0.98%と1.89%を分けた「想起の場所」

SNS運用は必要か。フォロー率0.98%と1.89%を分けた「想起の場所」
この記事の結論

SNSに力を入れるべきかどうかは、業種では決まりません。決めるのは、お客さんが自社を思い出す場所がどこかです。店頭で思い出される事業なら、SNSは脇役で構いません。SNSで思い出される事業なら、フォロワーを増やす作業そのものが売上に直結します。同じ運用でも、この構造が違うだけでフォロー率は0.98%と1.89%に分かれました。まず自社がどちらかを判定してください。

「SNSもやったほうがいいですか」とよく聞かれます。

答えは事業によって正反対になります。ただし判断の分かれ目は業種ではなく、BtoCだから必要でBtoBだから不要、という切り分けはまず当たりません。実際にはBtoCでもSNSがほとんど効かない事業がありますし、その逆もあります。

分かれ目は、お客さんが「あれを買おう」と思い出す瞬間が、どこで起きているかです。

目次
  1. 想起の場所が、チャネルの役割を決める
  2. 実データ:同じ運用でも、フォロー率は約2倍違った
  3. 自社がどちらかを判定する手順
  4. 注意点
  5. チェックリスト
  6. よくある質問

想起の場所が、チャネルの役割を決める

売上が立つまでには、必ず「思い出す」という工程が挟まります。欲しいと思った瞬間にどのブランドが頭に浮かぶか。ここを取れていない商品は、どれだけ広告を打っても比較の土俵に乗りません。

問題は、この想起が成立する場所が事業ごとに違うことです。

店頭に商品が並ぶ事業では、お客さんは棚の前で商品を見て、その場で買うかどうかを決めます。想起は来店した時点でほぼ完了しています。この構造だとSNSの役割は小さくなる。フォロワーが増えても、棚の前に立つ人の数は変わらないからです。

逆の事業もあります。店頭を持たず、そもそも存在を知られていない商品。思い出してもらうきっかけを自分で作るしかなく、SNSが想起の入口そのものになります。フォロワーの数が、次に告知を届けられる人の数です。

店頭で想起が成立する事業 → SNSは脇役。予算を寄せても伸びにくい

SNSで想起が成立する事業 → フォロワー形成が成長そのもの

同じ「SNS運用」でも、前者では販促の補助、後者では事業の基盤になります。この違いを踏まえずに他社の事例を真似ると、効かない場所へ予算を置き続けることになります。

実データ:同じ運用でも、フォロー率は約2倍違った

実際に運用しているキャンペーンの数字を出します。フォロー&リポスト型の企画を11本回した累計です。

参加の動機フォロー率
景品が欲しくて参加する型0.98%
対象そのものが好きで参加する型1.89%

約2倍の差です。11本を累計した純増は37,746人で、1本あたりの平均純増は3,431人でした。

ここで注目してほしいのは運用の巧拙ではなく、参加する動機が「景品」なのか「対象そのもの」なのかで、獲得できる上限が最初から違っていたという構造のほうです。

景品配布型は誰でも参加できる代わりに、その人が自社を思い出す理由にはならず、抽選が終われば離れていきます。タイアップ型は参加した時点で対象に興味がある人が集まるため、その後に出す告知が届きます。

ただし、これはどちらが優れているという話ではない。想起をSNSで作る必要がある事業にとっては後者が必須で、店頭で想起が済んでいる事業にとってはどちらもそこまで重要ではありません。

自社がどちらかを判定する手順

  1. 直近の購入者に「何がきっかけで知ったか」を聞く。10人でいい。回答が店頭・紹介・検索に寄るなら、SNSは脇役です
  2. 指名検索の数を見る。ブランド名で検索されている数が増えているなら、想起はすでにどこかで成立しています。その場所を特定します
  3. SNS経由の売上比率を出す。感覚ではなく計測で。1%未満なら、そこは主戦場ではありません
  4. 脇役だと判定したら、用途を既存顧客との関係維持に絞る。工数が半分以下になります
  5. 主役だと判定したら、フォロワーの「質」を設計する。景品目当ての層をいくら集めても、想起は作れません

4番目は抵抗があるかもしれません。更新を止めると不安になるものですが、効かない場所に毎日30分を使い続けるほうが、事業としての損失は大きくなります。

注意点

フォロワー数の増加だけを見て判断すると、まず間違えます。増えた人が離れる分を差し引いていないからです。実際、11本の累計では新規フォロー44,323に対して5,577が解除されています。獲得単価も表面の数字と実質で5倍以上ずれることがあります

もうひとつ。判定は一度きりではありません。

店頭想起型の事業でも取扱店が減れば構造は変わりますし、SNS想起型の事業が卸に乗れば比重は移ります。チャネルの役割は事業構造の従属変数なので、構造が動いたら見直してください。

そして、想起を取れていても受け皿の導線がなければ売上にはなりません

チェックリスト

よくある質問

SNS運用は、どの業種でもやったほうがいいですか?

業種では決まりません。お客さんが自社を思い出す場所が店頭や検索なら、SNSは脇役で構いません。逆に、存在を知ってもらう入口がSNSしかない事業では、フォロワー形成が事業の基盤になります。まず直近の購入者に認知のきっかけを聞いて、判定してください。

フォロワーを増やす企画は、何を基準に選べばいいですか?

参加動機が「景品」か「対象そのもの」かで結果が変わります。実測では、景品配布型のフォロー率が0.98%、対象への興味で集まるタイアップ型が1.89%と約2倍の差が出ました。景品目当ての層は抽選後に離れるため、その後の告知が届きません。

フォロワーが増えているのに売上が伸びません。なぜですか?

増加数ではなく純増で見ているか確認してください。実測では新規フォロー44,323に対して5,577が解除されています。そのうえで、思い出してもらう工程と買ってもらう工程は別物です。想起を取れていても受け皿の導線がなければ売上にはなりません。

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