企業のSNS運用が続かない。担当者のせいではなく設計の問題

SNS運用が止まるのは、担当者のやる気が落ちたからではありません。続く設計になっていないからです。原因は3つあり、投稿の型が決まっていない、成果指標が遠すぎる、業務が個人に紐づいている、のいずれかです。実際に回している案件では、型を1つに固定して週2本、月次の指標をプロフィールクリック100とブックマーク15に置いています。ただし立ち上げ期は本数より型の検証を優先してください。
企業のSNSアカウントを見に行くと、最終投稿が半年前で止まっていることがあります。最初の1ヶ月は毎日更新されていて、そこから間隔が空き、消える。
担当者に聞くと、たいてい「忙しくて手が回らなくなった」と返ってきます。ただ、忙しさは原因ではなく結果のほうです。
続かない3つの原因
1. 投稿の型が決まっていない
毎回ゼロから何を書くか考えていると、1本あたりの負荷が下がりません。ネタ切れは起きるべくして起きます。
型が決まっていれば、考えるのは中身だけで済みます。負荷が下がるのは慣れたからではなく、決める回数が減るからです。
2. 成果指標が遠すぎる
KPIを問い合わせ件数だけに置くと、数ヶ月なにも起きません。当たり前で、認知から問い合わせまでには距離があります。
その間、担当者は「効果が出ていない施策」を続けることになる。社内で説明もできず、優先順位が下がって止まります。
3. 業務が個人に紐づいている
投稿の判断がひとりの頭の中にあると、その人が異動した瞬間に運用が消えます。引き継ぎ資料に書けるのは操作手順だけで、何を書くべきかの判断は引き継げません。
実際に回している設計
BtoB人材系の企業アカウントで運用しているルールを出します。5月から6月の全投稿を分析して、最も再現性が高かった型に固定したものです。
| 項目 | 設定 |
|---|---|
| 投稿の型 | 読者が気づいていない問題を突く1種類に固定 |
| 本数 | 週2本 |
| 月次の指標 | プロフィールクリック100 / ブックマーク15 |
| 最終目標 | 問い合わせ 1〜3件/四半期 |
要点は、月次で追う指標を問い合わせより手前に置いていることです。プロフィールクリックとブックマークなら、毎月動きが見えます。動きが見えれば、社内で続ける理由を説明できる。
ブックマークを指標に入れているのには理由があります。保存したくなる実用性の代理指標として、プロフィールクリックより先に反応が出ます。先に動く数字を持っておくと、方向が合っているかを早く判断できます。
週2本という本数も、多くありません。毎日投稿を目標にすると、3週間で破綻します。続く本数に落としてから、型の精度を上げるほうが結果的に早い。
設計の手順
- 過去の投稿を全部並べて、反応が良かったものを抜き出す。感覚ではなく数字で選びます
- 共通している型を1つ見つける。複数あっても1つに絞ります
- その型のテンプレートを作る。書き出し、構成、締めの3点を固定します
- 続けられる本数を決める。週2本から始めて、余裕があれば増やします
- 月次で見る指標を、問い合わせより手前に2つ置く。毎月動く数字にします
- テンプレートと指標を文書にする。担当が変わっても引き継げる形にします
注意点
立ち上げ期は例外です。まだ型が見つかっていない段階で本数を固定すると、検証にならない。最初の1〜2ヶ月は複数の型を試し、反応を見てから絞ってください。
もうひとつ、SNSに力を入れるべきかどうかは事業によって変わります。お客さんが自社を思い出す場所がどこかで、SNSの役割は変わります。店頭や検索で想起が成立している事業なら、続かないことをそこまで問題視しなくて構いません。
そして、フォロワーを増やしても受け皿の導線がなければ売上になりません。運用を続ける設計と、売上につなげる設計は別に必要です。
チェックリスト
- 投稿の型が1つに決まっている
- 型のテンプレート(書き出し・構成・締め)が文書化されている
- 本数が、続けられる水準に設定されている
- 月次で見る指標が、問い合わせより手前にある
- その指標が、毎月動く数字になっている
- 担当者が変わっても引き継げる形で残してある
- そもそも自社にとってSNSが主役か脇役かを判定してある
よくある質問
企業のSNS運用が続かないのはなぜですか?
投稿の型が決まっていない、成果指標が遠すぎる、業務が個人に紐づいている、のいずれかが原因です。毎回ゼロから何を書くか考えると負荷が下がらず、問い合わせ件数だけをKPIに置くと数ヶ月なにも起きないため、社内で続ける理由を説明できなくなります。
SNSは週に何本投稿すべきですか?
続けられる本数から決めてください。実際に運用している案件では週2本で固定しています。毎日投稿を目標にすると3週間で破綻することが多く、本数を落としてから型の精度を上げるほうが結果的に早く進みます。
SNS運用のKPIは何を見ればいいですか?
問い合わせ件数より手前の指標を月次で2つ置いてください。運用中の案件ではプロフィールクリック100とブックマーク15を月次指標にしています。ブックマークは保存したくなる実用性の代理指標で、プロフィールクリックより先に反応が出ます。