ターゲットは広げるほど売れなくなる。除外を先に決める

ターゲットを広げると母数が増えて有利に思えますが、実際は逆に振れることが多くあります。買えない人と買わない人が混ざるほど、配信の学習も、伝える言葉も、両方が薄まるためです。順番としては、誰に売るかより先に誰に売らないかを決めます。決め方は3つで、買えない条件、買っても続かない条件、そして自社が勝てない条件です。ただし立ち上げ期は例外で、絞る前に当たりを探す期間が要ります。
「もっと幅広い層に届けたい」という要望は、ほぼ全ての案件で出てきます。母数が増えれば売上も増えるはず、という発想は自然です。
ただ、実務では逆に振れることのほうが多くあります。
広げると、2つの場所が同時に薄まる
ひとつは配信の学習です。広告は「この商品を買いそうな人」の像を、実際に買った人のデータから組み立てていくので、そこに買えない人が混ざるほど像の輪郭がぼやけます。
もうひとつは伝える言葉です。誰にでも当てはまる言い方は、結局のところ誰の状況にも刺さりません。「忙しい方へ」は、誰のことでもない。
厄介なのは、広げた直後は数字が良く見えることです。母数が増えるのでクリックも問い合わせも増える。減るのは、その先の契約だけです。入口の指標だけを見ていると、悪化していることに気づけません。
実データ:入口は好調なのに契約が進まない
配送・運送系フランチャイズの加盟店募集を運用したときの話です。以前も書いたとおり、リード単価は¥800〜900台で安定していました。数字だけ見れば順調です。
ところが説明会の予約も契約も進みません。集まったリードを一件ずつ見ていくと、配信エリアの外に住んでいる人や年齢が対象外の人など、そもそも契約に進みようがない人が一定の比率で混ざっていました。
ここで効いたのが、広げる方向ではなく外す方向の設計でした。
| やったこと | 狙い |
|---|---|
| 65歳以上を配信対象から外す | 制度上そもそも契約できない層を止める |
| 有効なリードだけを学習の材料にする | 買える人の像をぼかさない |
| 実名でないリードを学習から外す | ひやかしを正解として覚えさせない |
2つ目と3つ目が要点です。広告は、こちらが「これが成果です」と教えたものに似た人を探しに行きます。契約に進まないリードを成果として渡し続けると、契約に進まない人を上手に集める広告に育ちます。
参加の動機で結果が変わる例は他にもあります。景品目当てで集まった層のフォロー率が0.98%、対象そのものに興味がある層が1.89%と、約2倍の差が出ました。集める人を選ぶかどうかは、運用の巧拙より先に効きます。
誰に売らないかを決める3つの条件
- 買えない条件を書き出す。制度、地域、年齢、法人格など、こちらの努力では変えようがない条件です。ここは迷わず外せます
- 買っても続かない条件を書き出す。すぐ解約する層や使いこなせない層は、獲得できても事業には残らないので、獲得単価が合っていても意味がありません
- 自社が勝てない条件を書き出す。価格でしか比較されない場面、大手の指名が入る場面。取れないのではなく、取っても消耗します
- 3つを配信設定と訴求に反映する。設定で外せるものは外し、外せないものは文言で選別します
- 成果として広告に渡すデータを絞る。問い合わせ全件ではなく、有効なものだけを成果として送ります
5つ目は見落とされがちですが、影響がいちばん大きい。ここを直さないまま除外設定で入口だけを絞っても、広告は間違った正解を覚え続けます。
注意点
立ち上げ期は例外です。誰が買うのかまだ分かっていない段階で絞ると、当たりを探す前に候補を消すことになります。最初の数ヶ月は広めに配信し、買った人の共通点が見えてから絞ってください。
もうひとつ、絞りすぎると配信量が確保できなくなります。学習に必要な件数を割り込むと、それはそれで単価が上がる。除外は「買えない人」から順に外していき、配信量を見ながらどこで止めるかを決めてください。
そして、除外は一度決めたら終わりではありません。商品が変われば買える人も変わります。半年に一度は、外している条件が今も正しいかを見直してください。
チェックリスト
- 買えない条件(制度・地域・年齢など)を書き出してある
- 買っても続かない層の特徴を、数字で把握している
- 自社が勝てない場面を言語化してある
- 外せる条件は配信設定に反映してある
- 外せない条件は、訴求の文言で選別している
- 広告に成果として渡すデータを、有効なものだけに絞っている
- 学習に必要な配信量を割り込んでいないか確認した
よくある質問
ターゲットを広げると、なぜ成果が落ちるのですか?
配信の学習と伝える言葉が同時に薄まるためです。買えない人が混ざると広告が持つ「買いそうな人」の像がぼやけ、誰にでも当てはまる言い方は誰の状況にも刺さりません。広げた直後はクリックも問い合わせも増えるため、悪化に気づきにくいのも特徴です。
誰に売らないかは、どう決めればいいですか?
3つの条件で書き出してください。制度や地域や年齢など努力では変えられない「買えない条件」、すぐ解約するなど「買っても続かない条件」、価格でしか比較されないなど「自社が勝てない条件」です。設定で外せるものは外し、外せないものは訴求の文言で選別します。
除外設定をしても成果が変わりません。何を見落としていますか?
広告に成果として渡しているデータを確認してください。契約に進まないリードを成果として送り続けると、広告はそれを正解として学習し、契約に進まない人を上手に集めるようになります。問い合わせ全件ではなく、有効なものだけを成果に設定してください。