ToCとToBのマーケ、何がそんなに違うのか。マーケターの力量が試されるのはどちらか。

この記事の結論

BtoCとBtoBのマーケティングは、意思決定の構造がまったく違います。ToCはプロダクトと市場の相性が成否を左右し、個人が短時間で購買を決めます。ToBは3ヶ月から1年に及ぶ検討期間と複数の意思決定者を動かす設計が求められます。継続的な戦略設計力という意味で、マーケターの力量が試されるのはToBです。

マーケティングという仕事をしていると、ToC企業とToB企業の両方と関わる機会がある。

そのたびに感じるのは、同じマーケティングという言葉を使っていても、求められることがまるで違うということだ。戦略の立て方、KPIの置き方、施策の優先順位、成果が出るまでの時間軸。何もかもが違う。

それなのにマーケターですという一言で括られてしまうことが多い。

今回はToCとToB、それぞれのマーケティングの構造の違いと、マーケターとして何が求められるかを整理してみる。

ToCマーケの構造

ToCマーケの特徴を一言で言うと、プロダクト次第でくそ売れるし、くそ売れない。

少し乱暴に聞こえるかもしれないが、これが実態に近い。

消費者向けのマーケティングにおいて、最終的な成否を決める要因の多くはプロダクトの魅力とタイミングだ。どれだけ緻密な広告設計をしても、どれだけクリエイティブを磨いても、プロダクト自体が市場にハマっていなければ動かない。逆に言えば、プロダクトが本当に刺さるものであれば、多少マーケティングが荒削りでも売れる。

ToCは意思決定が個人で完結する。財布を開くかどうかを決めるのは一人だ。だから感情的なトリガーが刺さったとき、バズが起きたとき、タイミングが合ったときに一気に動く。一晩でSNSが燃えて売り切れになることもあれば、何をやっても無風のままということもある。

マーケターとしてできることは、プロダクトの魅力を最大限に引き出す見せ方をすること、ターゲットに正確にリーチすること、購買の障壁を下げることだ。これは重要な仕事だが、それ以上にプロダクトと市場の相性が先に来る。

ToCマーケで成果を出した経験は、プロダクトが良かったからという要素を切り離して考える必要がある。自分の腕で売ったのか、プロダクトの力で売れたのかを冷静に見極めることが、マーケターとして成長する上で重要だと思っている。

ToBマーケの構造

ToBはそうじゃない。

ToB、つまり企業向けのマーケティングでは、意思決定のプロセスが根本的に違う。

まず関わる人間が多い。担当者がいて、上長がいて、経営層がいて、場合によっては法務や情報システム部門も絡んでくる。担当者が良いと思っていても、上が首を縦に振らないと進まない。稟議があり、予算の承認サイクルがある。

検討期間も桁が違う。ToCなら数分から数日で購買判断が出ることが多いが、ToBでは3ヶ月から半年、長いものになると1年以上かかることも珍しくない。その間に担当者が変わることもある。予算期が変わって見送りになることもある。

この構造を理解していないマーケターが、ToBの現場でToCと同じ発想で動くと噛み合わなくなる。バズを狙っても意味がない。瞬間的なインプレッションより、検討期間中に何度接触できるかの方が重要だからだ。

ToBマーケで本当に求められること

ToBのマーケティングで一番大切なことは、検討期間中に忘れられないことだと思っている。

見込み客が自社のサービスを知ってから、実際に導入を決めるまでの期間に、競合との比較が行われる。この比較検討フェーズで自社がどう見えているかが勝負を決める。

接触頻度をどう設計するか。有益なコンテンツを継続的に届けられているか。ウェビナーやホワイトペーパー、メルマガ、SNS投稿など、複数のタッチポイントで繰り返し価値を提供できているか。これがToBマーケの核心だ。

さらに難しいのは、失注した相手への対応だ。ToCなら一度買わなかった人への追いかけはリターゲティング広告で自動化できる。ToBでは失注した相手が半年後、1年後に再び検討フェーズに入ることがある。そのタイミングで自社が選択肢として浮上できるかどうかは、失注後も関係を切らずに接触を続けていたかどうかにかかっている。

ToCのマーケが面で獲る設計なら、ToBは線で追い続ける設計に近い。この違いを体感したことがあるかどうかで、マーケターとしての引き出しが大きく変わる。

なぜToBマーケでマーケターの力量が試されるのか

継続力が必要なのがToBだ。

ToCでは成果がある程度早く出る。施策を打てば数日で数字が動き、何が効いたかが比較的わかりやすい。PDCAのサイクルが速い。

ToBでは違う。施策を打っても成果が数字に現れるまでに半年以上かかることがある。その間、正しいことをやっているのか間違っているのかが見えにくい状態で動き続けなければならない。

これは精神的にきつい。短期的な数字が出ない状態でも戦略の正しさを信じてコンテンツを作り続け、関係を育て続けることが求められる。

また、ToBでは営業との連携が不可欠だ。マーケが生み出したリードを営業がどう扱うか、営業が持ってきた情報をマーケがどう活かすか。部門を横断した設計ができないと機能しない。ToCのように広告とLPだけで完結しないのがToBの難しさでもある。

加えて、意思決定者が複数いるということは、届けるメッセージも複数設計する必要があるということだ。現場担当者には実務上の利便性を訴求して、経営層にはROIと戦略的な意義を訴求する。同じプロダクトの話をしていても、刺さるメッセージが人によって違う。この設計ができるかどうかもToBマーケの腕の見せどころだ。

実際に両方やってみて感じたこと

ToCもToBも経験したマーケターとして正直に言うと、どちらが難しいという話ではなく、まったく別のゲームだと思っている。

ToCはスピードと感度の仕事だ。市場の空気を読んで、タイミングを逃さず、瞬発力で動く。バズの文脈に乗れるかどうか、クリエイティブで一瞬で刺さるかどうか。

ToBは設計と継続の仕事だ。長い時間軸で関係を育てて、複数の意思決定者を動かす論理を組み立てて、成果が見えない期間も正しい方向に歩き続ける。

どちらの経験も積んでいるマーケターは、対応できる課題の幅が広くなる。ただ、マーケターとしての力量、特に戦略設計力と継続力という意味では、ToBマーケの支援で試されることの方が多い気がしている。

成果が出るまでに時間がかかる環境で、正しい設計をして、諦めずに動き続けられるかどうか。これはどんな環境でも使えるマーケターの基礎体力になる。

まとめ

ToCとToBのマーケは、同じマーケティングという言葉でくくるには違いすぎる。

ToCはプロダクトと市場の相性が前提にあり、マーケターはその魅力を最大化して正確に届ける役割を担う。ToBは長い検討期間を通じて見込み客との関係を育て、複数の意思決定者を動かす設計が求められる。

どちらが上でも下でもないが、継続的な戦略設計力と実行力という意味では、ToBマーケの経験がマーケターを鍛える。

自分がどちらの経験を積んできたか、そしてどちらが得意かを把握した上でポジションを取ることが、フリーランスや独立したマーケターにとって武器になると思っている。

よくある質問

ToCとToBのマーケティングは何が一番違いますか。

意思決定の構造です。ToCは個人が短時間で購買を決めますが、ToBは複数の意思決定者と稟議、長い検討期間を経て判断が下されます。

ToCマーケで成果が出るかどうかは何で決まりますか。

プロダクトと市場の相性が大きく先に来ます。緻密な広告設計をしても、プロダクトが市場にハマっていなければ動きません。

ToBの検討期間はどのくらいですか。

3ヶ月から半年、長いものでは1年以上かかることも珍しくありません。その間に担当者が変わったり予算期の都合で見送りになることもあります。

ToBマーケで最も大切なことは何ですか。

検討期間中に忘れられないことです。複数のタッチポイントで繰り返し価値を提供し、比較検討フェーズで選ばれる状態を作ることが核心になります。

ToBでバズを狙う施策は有効ですか。

有効ではありません。瞬間的なインプレッションより、長い検討期間中に何度接触できるかの方が重要だからです。

なぜToBの方がマーケターの力量が試されるのですか。

成果が数字に出るまで半年以上かかる中で、戦略の正しさを信じて動き続ける継続力と、複数の意思決定者を動かす設計力が求められるからです。

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