広告代理店の選び方。ランキング記事に書いていない、本当に大事なこと。
広告代理店の選び方を検索すると、ランキング形式の記事が多数出てきます。おすすめ10選、失敗しない選び方、などと書かれた記事のほとんどは、掲載料を支払った代理店が並んでいる比較コンテンツです。
これらの記事が完全に無意味かというとそうではありませんが、発注者にとって本当に必要な視点が抜けていることが多いです。代理店の内側にいた経験から、発注者が見るべき選定基準を整理します。
ランキング記事が教えてくれないこと
比較サイトやランキング記事に載っている情報は、主に代理店の概要、得意媒体、最低予算、費用目安などです。これらは確かに参考にはなりますが、実際の運用品質を示す情報ではありません。
代理店の規模が大きいことは、必ずしも自社の案件への工数が多くなることを意味しません。大手代理店では担当者1人が抱える社数が多く、月の広告費が少ない案件は優先順位が下がりやすい構造があります。
受賞実績も同様です。広告賞は主に大規模なキャンペーンやクリエイティブを評価するもので、月の広告費が100万円以下の中小企業の運用を改善した実績とは別物です。
本当に確認すべき3つのこと
発注者として代理店を選ぶときに、最も確認したいことを3つに絞ります。
1つ目は、自社と近い業種・規模・媒体での具体的な実績があるかどうかです。BtoBのリード獲得とECのCVR改善では、運用の勝ちパターンがまったく異なります。抽象的な「実績があります」ではなく、自社の状況と近い案件で、具体的にどんな課題をどう解決したかを聞いてください。
2つ目は、提案段階で現状の課題をどう分析しているかです。初回提案で自社の実績紹介や機能説明だけを話す代理店と、現在の広告アカウントや競合状況を事前に調査した上で課題を指摘してくる代理店では、動き方が根本的に違います。
3つ目は、実際に運用を担当する人間が誰かを確認することです。営業と運用担当は別であることが多く、提案段階で会うのは営業担当、契約後に現れるのは経験の浅い運用担当というケースは珍しくありません。可能であれば、運用を担当する予定の人間と直接話す機会を作るよう依頼してください。
提案時にこの質問を使う
代理店に提案をもらう際、以下の質問への回答の質を見ることで、実力の判断材料が得られます。
・現在の弊社の広告アカウントを見て、最も改善余地があると思う点はどこですか
・弊社と同業種・同規模で、直近1年以内に改善した案件の具体的な成果を教えてください
・実際に運用を担当する方の経験年数と、現在の担当社数を教えてください
・月次MTG以外に、どのタイミングで連絡をもらえますか
最初の質問は、事前に自社のアカウントを確認してきているかどうかを確かめられます。確認してきていない代理店は、契約後も発注者の状況を深く理解しようとしない可能性があります。
3番目の質問への回答で担当社数が10社を超えている場合、週40時間の稼働で1社あたり4時間以下の計算になります。これが自社の案件規模に対して適切かどうかを判断してください。
費用の比較より優先すべきこと
複数社から見積もりを取って比較するとき、多くの発注者が費用の安さを判断軸にします。もちろん予算制約は現実的な問題ですが、手数料率だけで選ぶのは失敗しやすいです。
月の手数料が5万円安い代理店に変えて、毎月の運用工数が実質的に半分になったとすれば、節約した費用以上の機会損失が発生します。重要なのは手数料の絶対額ではなく、その費用に見合う価値が提供されるかどうかです。
費用を比較する際には、同じ手数料率でも含まれるサービス範囲が代理店によって異なります。レポーティングの頻度・粒度、MTGの回数、クリエイティブ制作の有無、計測設定の支援——これらが含まれるかどうかを確認した上で比較してください。
試しに小さく始める方法
代理店をゼロから選ぶ場合、いきなり全媒体・全予算を任せるのではなく、1媒体・1〜2ヶ月の試験期間を設けて実際の動き方を見る方法があります。
試験期間を提案したときの代理店の反応も参考になります。試験期間を嫌がる代理店は、短期での成果に自信がない可能性があります。逆に「ぜひ見てください」と言える代理店は、動き方に自信がある場合が多いです。
代理店との関係は長期になりやすいため、最初の選定に時間をかける価値は十分あります。ランキング記事に頼らず、自社の状況に合った基準で判断することが、長く機能する代理店関係を作る出発点です。