新規と既存、どちらに予算を置くか。解約率で決まる

新規と既存、どちらに予算を置くか。解約率で決まる
この記事の結論

新規獲得と既存維持の予算配分は、担当者の好みでも流行でもなく、解約率で決まります。穴の空いたバケツに水を足しても水位は上がりません。解約率が高い状態で新規に予算を寄せると、獲得した分だけ抜けていくため売上が伸びない。判断に使うのは、解約率、1件あたりの粗利、獲得単価の3つだけです。ただし立ち上げ期は例外で、母数がない段階では新規に寄せる以外の選択肢がありません。

集客の予算をどこに置くかという話になると、たいてい新規獲得の議論になります。広告をいくら使うか、どの媒体に出すか。既存顧客の話が出てくるのは、その後です。

ただ、順番としては逆のことがあります。

目次
  1. 穴の空いたバケツ
  2. 判断に使う3つの数字
  3. 配分を決める手順
  4. 注意点
  5. チェックリスト
  6. よくある質問

穴の空いたバケツ

売上は、新規で入ってくる分と、既存から抜けていく分の差で決まります。抜ける量が多ければ、いくら入れても水位は上がりません。

この状態で新規獲得に予算を寄せると、獲得した件数は増えるのに売上は横ばい、という結果になります。広告は機能しているのに事業が伸びない。数字だけ見ると原因が分からず、広告の改善を続けてしまう。

実際には、直すべきなのは広告ではありません。抜けていく量のほうです。

ここで効いてくるのが解約率です。月の解約率が3%なら顧客は平均33ヶ月残りますが、10%だと10ヶ月しか残りません。同じ獲得単価でも、回収できる金額が3倍以上違う。広告の良し悪しより、この差のほうが事業へのインパクトは大きくなります。

判断に使う3つの数字

数字何が分かるか
解約率(または再購入率)顧客が何ヶ月残るか
1件あたりの粗利1ヶ月でいくら残るか
獲得単価何ヶ月で回収できるか

この3つで、獲得にかけた費用が何ヶ月で戻るかが出ます。回収期間が顧客の平均継続期間より長いなら、新規を増やすほど資金繰りが苦しくなる。CPA目標を合わせるだけの運用が手詰まりになるのは、この構造が抜けているからです。

配分を決める手順

  1. 解約率を出す。出せないなら、まず計測を作ります。ここが分からないと配分は決められません
  2. 回収期間を計算する。獲得単価を1ヶ月あたりの粗利で割ります
  3. 回収期間と平均継続期間を比べる。回収期間のほうが長いなら、新規を増やしてはいけません
  4. 抜ける量を減らす施策に予算を移す。初回体験の改善、利用開始のフォロー、解約直前の接点。広告より安く効きます
  5. 解約率が下がってから、新規に戻す。バケツの穴を塞いでから水を足します

4番目に使う金額は、広告費より小さいことが多くあります。メールの文面を変える、開始直後の案内を1通足す。制作費だけで済むものが大半です。

注意点

立ち上げ期は例外です。顧客が数十件しかいない段階で解約率を計算しても、母数が足りず判断できません。この時期は新規に寄せる以外の選択肢がなく、解約率の議論は後回しで構いません。

もうひとつ、既存に寄せすぎると母数が痩せます。既存維持は今いる顧客の中でしか効かないため、新規をゼロにすれば数年で頭打ちになる。どちらかに全振りする話ではなく、比率の話です。

そして、解約率は商材によって水準がまったく違います。他社の数字と比べるより、自社の先月と比べてください。

チェックリスト

よくある質問

新規獲得と既存維持、どちらに予算を使うべきですか?

解約率で決まります。解約率が高い状態で新規に寄せると、獲得した分だけ抜けていくため売上が伸びません。獲得単価を1ヶ月あたりの粗利で割った回収期間が、顧客の平均継続期間より長いなら、新規を増やしてはいけません。

解約率が高いかどうかは、どう判断すればいいですか?

水準は商材によって大きく違うため、他社と比べても判断できません。自社の先月と比べてください。月の解約率が3%なら平均33ヶ月、10%なら10ヶ月しか残らず、同じ獲得単価でも回収できる金額が3倍以上変わります。

既存維持に予算を移すと、具体的に何をするのですか?

初回体験の改善、利用開始直後のフォロー、解約が起きやすい時期の接点づくりです。メールの文面を変える、案内を1通足すといった施策が中心で、広告費より小さい金額で効くことが多くあります。

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