【実録】クッションLPの離脱率が75.7%だった。CPA悪化の主因は広告ではなくファネル中間だった話

CPAが悪化したとき、多くの人はまず広告やクリエイティブを疑います。ですがあるD2Cブランドの案件では、主因は広告ではなく、広告と本LPの間に挟んだクッションLP(中間LP)にありました。ここで75.7%が離脱していたのです。遷移率を24.3%から40%まで引き上げられれば、CPAは約40%削減できる試算でした。CPA悪化を見たら、クリエイティブより先に「広告→クッションLP→本LP」のどこで人が消えているかを数字で分解してください。打ち手が変わります。
広告のCPAが上がってきたとき、最初に手が伸びるのはたいてい広告側です。クリエイティブを差し替える、ターゲティングを見直す、入札を調整する。もちろん有効なこともありますが、私が見てきた案件では、CPA悪化の本当の原因が広告の外にあったケースが少なくありません。
この記事では、あるD2Cブランドで実際に起きた例をもとに書きます。広告は悪くなかった。悪かったのは、広告をクリックした後に挟んでいたクッションLPでした。ここで訪問者の75.7%が本LPにたどり着く前に離脱していた。数字で分解して初めて見えた原因です。
同じ「広告→クッションLP→本LP」という構造を持つ事業は多いはずです。中間の離脱をどう見つけ、どう判断したのかを、実データと手順で残します。
目次
クッションLP(中間LP)とは何か
先に用語をそろえます。クッションLPとは、広告と本来の販売ページ(本LP)の間に挟む中間ページのことです。記事LP、ステップLP、教育LPなどと呼ばれることもあります。
広告 → クッションLP(中間) → 本LP(申込・購入)
クッションLPの役割は、いきなり売り込まず、悩みへの共感や商品理解を挟んでから本LPへ送ること。
うまく機能すれば、いきなり本LPに送るより購入への納得感が高まります。一方で、ここが1枚増えるということは、離脱ポイントが1つ増えるということでもあります。そして多くの現場で、この中間の遷移率は計測されていません。広告のクリック数と、最終的なCVだけを見て、間で何が起きているかはブラックボックスになっている。これが落とし穴です。
数字で見た主因:クッションLPで75.7%が離脱していた
問題の案件では、CPAが悪化していました。広告のクリック単価やクリック率は悪くない。にもかかわらず獲得が伸びない。そこで、広告からCVまでの間を段階ごとに数字で分解しました。
すると、広告をクリックしてクッションLPに来た人のうち、本LPへ進んだのはわずか24.3%。残りの75.7%は、本LPを見ることすらなく離脱していました。
クッションLP到達を100とすると —
本LPへ遷移:24.3% / クッションLPで離脱:75.7%
CV地点は本LPのさらに先。つまり広告費の多くが、本LPに届く前に溶けていた。
ここが重要です。CPAはCV数で決まりますが、そのCVは本LPの先にあります。中間で4分の3が消えていれば、本LPの完成度やクリエイティブをどれだけ磨いても、母数がそもそも足りません。CPA悪化の主因は、広告でも本LPでもなく、その間にありました。
遷移率を40%に上げられれば、CPA約40%削減の試算
では、この中間の遷移率を改善するとCPAはどう動くか。試算してみます。
クッションLPの遷移率を24.3%から40%まで引き上げられたとします。同じ広告費・同じ本LPのCVRなら、本LPに届く人数が約1.6倍になります。CV数もおおむね比例して増えるため、1件あたりのコストであるCPAは約40%削減できる計算になります。広告費は1円も増やしていません。
広告費・本LPのCVRを固定して、クッションLP遷移率 24.3% → 40% を実現できた場合の試算:
本LP到達数 約1.6倍 → CV数もほぼ比例増 → CPA 約40%削減(試算)
※これは遷移率改善による計算上の見込みで、実際の改善幅は本LPのCVR等で変わります。
念のため書いておくと、これは「40%下がった」という結果報告ではなく、遷移率の改善が同じ広告費でどれだけCPAを動かしうるかの試算です。ただ、試算の桁を見るだけでも、優先順位が変わることは分かってもらえると思います。広告のクリエイティブを1本作り替えるより、中間の遷移率を15ポイント動かすほうが、効く可能性が高い局面がある。
中間の離脱を見つける手順
特別なツールは要りません。順に数字を並べるだけです。
- ファネルを地点で分ける。「広告クリック → クッションLP到達 → 本LP到達 → CV」のように、計測できる地点を洗い出します。
- 各地点の実数を並べる。クリック数、クッションLPのPV、本LPのPV、CV数を同じ期間でそろえて並べます。ここで初めて、どの区間で人が減っているかが見えます。
- 区間ごとの遷移率を出す。本LP到達数 ÷ クッションLP到達数、が中間の遷移率です。ここが30%を大きく下回っていたら、中間LPが疑わしい。
- 本LP単体のCVRと切り分ける。本LPに来た人のCVRが妥当なら、問題は手前(中間)です。本LPのCVRも低いなら、両方に原因があります。切り分けが打ち手を決めます。
- 一番人が減っている区間から直す。CPAは一番細い区間で決まります。中間が最も細いなら、広告でも本LPでもなく、まず中間を直す。
この分解をせずに「CPAが上がったからクリエイティブを変えよう」と進むと、一番太い区間をいじって、一番細い区間を放置することになりかねません。CPAが改善しない構造的な理由の多くは、この「どの区間が細いかを見ずに手を動かす」ところから来ています。
読者が自分で確かめるチェックリスト
自社のファネルに中間の漏れがないか、次の項目で確認してみてください。1つでも当てはまるなら、中間の遷移率を疑う価値があります。
- 広告と本LP(申込ページ)の間に、記事LP・クッションLPなど1枚以上のページを挟んでいる
- そのクッションLPから本LPへの遷移率を、数字で言えない
- 見ているのは主に広告のクリック数と最終CVで、間の各地点のPVは追っていない
- CPAが悪化したとき、まずクリエイティブやターゲティングから手をつけている
- クッションLPから本LPへのボタン・導線が、ページ下部に1つしかない
- クッションLPと本LPで、訴求やデザインのトーンが分断されている(別物に見える)
特に上2つに当てはまるなら、まずやることは改修ではなく計測です。中間の遷移率が見えていないなら、良いも悪いも判断できません。LPで離脱が起きる構造を潰す前に、そもそもどのLPで離脱しているのかを数字で特定するのが先です。
広告を止めず、直す場所を変えるという判断
この案件で実際に取った判断は、広告の出稿を止めることでも、クリエイティブを全部作り替えることでもありませんでした。広告はそのまま動かし、直す対象をクッションLPの遷移率に切り替えたのです。
CPA悪化と聞くと反射的に広告を疑いたくなりますが、数字で分解すれば、手を入れるべき場所は自ずと決まります。一番細い区間はどこか。そこを1問だけ自分に問えば、限られた工数をどこに向けるかが変わります。
「広告→クッションLP→本LP」という構造で運用しているなら、今日、中間の遷移率だけでも出してみてください。そこが30%を切っているなら、次に作るべきは新しいバナーではないかもしれません。
よくある質問
クッションLPとは何ですか?
広告と本来の申込・購入ページ(本LP)の間に挟む中間ページのことです。記事LP・ステップLPとも呼ばれ、いきなり売り込まず共感や商品理解を挟んでから本LPへ送る役割があります。ページが1枚増えるぶん、離脱ポイントも1つ増えます。
CPAが悪化したら、まず何を疑うべきですか?
クリエイティブより先に、広告からCVまでの各地点を数字で分解してください。どの区間で人が最も減っているかを見ます。クッションLPを挟んでいる場合、その中間で大きく離脱していることがあり、広告をいじっても改善しません。
クッションLPの遷移率はどのくらいが目安ですか?
事業や商材で変わるため一概には言えませんが、中間の遷移率が30%を大きく下回っている場合は、まず中間LPを疑う価値があります。今回の例では24.3%で、ここを40%まで上げられればCPAは約40%削減できる試算でした(遷移率改善による計算上の見込み)。