王将が値上げしても売れ続けるのはなぜか。価格競争から抜け出す設計。
王将が値上げしても売れ続けるのは、価格ではなく代替しにくい体験と常連客との関係性で選ばれているからです。需要の価格弾力性が低いブランドは値上げを吸収できます。価格競争から抜け出すには、広告メッセージを価格から体験にずらし、既存顧客への接触を設計し、比較されにくいポジションを作ることが有効です。
餃子の王将が値上げしても客足が落ちない理由を、マーケターの視点で考えてみました。
諸々の世界情勢で外食産業が軒並み値上げを余儀なくされているなかで、餃子の王将は複数回にわたって価格改定を実施しました。
輸送関連の高騰が背景にあることは誰でも分かります。ただ、同じ状況で客足が遠のいたチェーンと、値上げをしながらも一定の支持を保ち続けたチェーンの間には、価格以外の何かが働いています。
王将が後者に近い位置にいる理由を、マーケティングの視点で考えたとき、広告運用に直接応用できるヒントが見えてきました。
価格競争に巻き込まれないブランドが持っている共通点
王将が強いのは、価格だけで選ばれていないからです。
王将には、他の中華チェーンでは代替しにくい体験の固有性があります。店ごとに異なる独自メニュー、調理中の音と匂い、ある種の雑然とした活気。これらは標準化されたファストフードとは明らかに違う体験で、ファンは王将という場所に来ることそのものに価値を感じています。
この状態を経済学的に言えば、需要の価格弾力性が低い、つまり価格が上がっても需要がさほど落ちない状態です。
マーケターとしてここから学べることは、ブランドの強さとは代替可能性の低さ、という点です。
広告で集めた顧客は、より安い競合が現れた瞬間に離れます。しかし、そのブランドでないと得られない体験や関係性を作れた顧客は、価格変動に対して鈍感になります。広告費は集客のきっかけを作りますが、顧客をつなぎ止めるのはブランドの固有性です。
値上げを吸収できるブランドと、値上げで死ぬブランドの違い
同じ値上げでも、反応がまったく異なるブランドがあります。その差はどこから生まれるのか?
一つは、価格以外の価値が顧客に伝わっているかどうかです。王将の場合、価格の安さだけでなく、ボリューム感、調理の速さ、独特の雰囲気という複数の価値が認知されています。価格が上がっても、他の価値が残るため離脱が起きにくい。
もう一つは、顧客との関係性の深さです。王将は地域に密着した常連客を多く持っており、その関係性は単なる購買行動を超えています。値段が少し上がっても、常連客は通い続けます。一見客は離れても、コアが残る。
広告予算の観点からも、これは重要な示唆を持っています。新規獲得に全予算を投じて既存顧客との関係構築をおろそかにすると、値上げや競合出現の局面で一気に崩れるリスクが高まります。LTVを高めるための施策に、意識的に予算を割く必要があります。
一人マーケターが今すぐ取り入れられる、価格競争から抜け出す設計
大企業のブランド戦略を聞いても、自分には関係ないと感じるかもしれません。でも、構造の本質は規模に依存しません。
価格競争から抜け出すために、個人や中小ビジネスでも取り入れられることが3つあります。
① 広告で伝えるメッセージを価格から体験にずらす
② 既存顧客への接触を設計する
③ 比較されにくいポジションを作る
まず、広告で伝えるメッセージを価格から体験にずらすことです。安さを訴求する広告は短期的には効果がありますが、より安い競合が出た瞬間に意味を失います。どんな体験ができるか、使ったあとにどう変われるかを伝える広告は、代替されにくい。
次に、既存顧客への接触を設計することです。メルマガでもLINEでもSNSでもよいので、購入後の顧客と定期的に接点を作る仕組みが必要です。接触頻度と好意度は相関します。
最後に、比較されにくいポジションを作ることです。競合と同じ土俵で戦わず、自分だけが語れる視点や体験をコンテンツとして発信し続けることで、価格以外の軸で選ばれる状態を作れます。
よくある質問
値上げしても客足が落ちないブランドの共通点は何ですか。
価格だけで選ばれていないことです。代替しにくい体験や常連客との関係性があり、需要の価格弾力性が低いため、価格が上がっても離脱が起きにくくなります。
価格弾力性が低いとはどういう状態ですか。
価格が上がっても需要がさほど落ちない状態です。そのブランドでないと得られない体験を持つ顧客は、価格変動に鈍感になります。
値上げで死ぬブランドとの違いはどこにありますか。
価格以外の価値が顧客に伝わっているか、顧客との関係性が深いかの2点です。安さだけで選ばれていると、値上げや競合出現で一気に崩れます。
中小企業や個人でも価格競争から抜け出せますか。
抜け出せます。構造の本質は規模に依存しません。メッセージを体験にずらす、既存顧客との接点を作る、比較されにくいポジションを取るの3つで実践できます。
安さを訴求する広告はやめるべきですか。
短期的には効果がありますが、より安い競合が出た瞬間に意味を失います。どんな体験ができるか、使った後にどう変わるかを伝える広告の方が代替されにくくなります。
既存顧客との関係構築に予算を割く意味はありますか。
あります。新規獲得に全予算を投じて既存顧客をおろそかにすると、値上げや競合出現の局面で崩れやすくなります。LTVを高める施策に意識的に予算を割く必要があります。
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